第433話 ダイエットを決心
「でも、気づくのが早くてよかったじゃん」
「……へ?」
私がダイエットについてあれこれ考えていると、ちぃちゃんがそんなことを言ってきた。確かにまだ早くに気づけたと思うけど……。
「だって、そのまま気づかずにもっと体重が増えていたら、指輪も入らなくなってたかもしれないじゃん」
「そ、それはやだっ!」
クリスマスイブに真人からもらった大切な指輪……それがつけられなくなるなんて考えたくない!
ダイエット、今日からでも始めないと!
「ならダイエットを頑張るしかないね。早朝に真人と一緒に走るとかね」
「え……? どういうこと?」
朝早くから真人と一緒に走る? え? 真人って走ってるの?
「実は、真人も太ったんじゃないかと思って、今朝の登校中に真人に聞いたんだよ。そしたら三学期の初日からほぼ毎日朝早くに起きてランニングしてるって言ってたんだよ」
「そ、そうだったの!? 私、全然知らなかった……」
「中筋君すごいね! 普通毎日なんて続かないよ」
「うん。寒いし眠いしで、私なら絶対三日坊主になってる」
乃愛ちゃんとせとかちゃんも感心してる。
ま、真人がそんなことしてただなんて……。
も、もしかして、三学期の初日に真人がいつもより早い時間に寝ようとしていたのって、単に杏子さんの件で疲れてただけじゃなくて、早起きとランニングを頑張ったから……?
「言うかどうかはあたしに一任されててね。綾奈のやる気を出させるために、真人が頑張ってる理由も教えとこうかな」
「理由?」
冬休みで体重が増えちゃったからだけじゃないの?
「「綾奈の隣に立って恥ずかしくない自分でいたいから」……だってさ。確かにダイエットは自分のためってのもあるんだろうけど、真人が頑張ってる理由には、やっぱり綾奈がいるんだよ。綾奈の隣に堂々と立てるように、中学までのデブだった自分には意地でも戻らないって並々ならない決意みたいなのを感じたよ」
「ま、まさと……」
そんなことを思ってくれていたなんて……。
世界一大好きな旦那様が、私のために頑張っているんだ……私だって頑張らないと!
初詣で横水君に言ったことを……真人が私を生涯のパートナーに選んでくれたことを絶対に後悔させないためにも、真人の隣に胸を張って立てるようになるんだ!
「綾奈ちゃんの目つきが変わった」
「どうやら迷いはなくなったみたいだね」
「うん。私もダイエットを頑張る。私にとって真人が自慢の旦那様のように、真人にとって、私が自慢のお嫁さんであり続けるために」
「イチャイチャするだけじゃなくてお互い高め合える存在。……いい夫婦」
「なら今日の放課後、真人に相談してみなよ。ダイエット出来るし、真人と一緒にいる時間も増える。おまけに来月からの体育はマラソンだから、その練習にもなるから一石三鳥だよ」
「マラソン……あぅ」
マラソンというワードを聞いて一気に憂鬱になる。
中学でもマラソンの授業はたまにあって、走り終わったあとは毎回へろへろになっていた。
高崎高校では、三月に学年男女別のマラソン大会があると聞いて絶望もした。
中学の時のようにならないよう、今からでも真人と一緒に走って、体力をつけておこう。
私はすぐにポケットからスマホを取り出し、やっぱり放課後会いたい旨を送信すると、すぐに既読がついて、【マジ!? やった! じゃあ放課後、高崎の最寄り駅で待ってるね】と返信が来て、旦那様がすごく私に会いたがっていることがわかって、真人の返信を見ながらニマニマしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます