第406話 真人っぽいプレゼント

「あら、そのシュシュだったのね。可愛いじゃない」

「一目で気に入っちゃった」

「綾奈は真人から貰ったプレゼントはなんでも気に入るんじゃないの?」

「えへへ~、そうとも言うかな」

 お姉ちゃんの言う通り、私は真人からのプレゼントはなんでも喜ぶと思う。運動が苦手な私だけど、もし真人から運動器具を貰ったら、毎日続けれる自信もある。

「それにしても、指輪の次はシュシュ……また丸型のプレゼントなのね」

「そうだけど……それがどうしたの?」

 私は小首を傾げた。

 確かに、真人が特別な日に私に贈ってくれたプレゼントは、左手の薬指にしてあるピンクゴールドの指輪とこのシュシュ……連続して丸いものだけど、なにか気になることでもあったのかな?

「真人っぽいなって思ったのよ」

「真人っぽい? もしかして、中学まで真人はぽっちゃりさんだったから言ってるの?」

「え? 真人って太ってたの?」

 どうやら違ったみたい。

 言われてみれば、お姉ちゃんが真人と初めて会ったのは高崎高校と風見高校の合唱部の合同練習が初めてのはずだから、真人がぽっちゃりさんだったのは知らないよね。

「……私が言ったのはね、人と人とを繋げるのが……輪を作るのが上手だから、丸いのが真人っぽいなって思ったのよ。真人の一番近くにいる綾奈なら、私よりもずっとその意味がわかるでしょ?」

「……うん」

 お姉ちゃんの言葉を聞いて、私は改めて思い出した。真人は人と人を繋げる力があるのを。

「……真人と一緒に帰るようになってからは、本当に色々な人と知り合えたし友達になれた。それに、初詣で真人をバカにしていた男の子がいたんだけど、その子も今は真人を「おにーさん」って呼んで真人を慕ってるんだよ」

 真人は人と手を繋いで、その輪を大きくしていってくれる。……輪の中心にはいつだって真人がいるんだ。

「そんな子がいたの? その子の心を短時間で変えちゃうって、なかなかすごいことよ」

「うん」

 私はお姉ちゃんの話を聞き、目を細めて指輪と、今日貰ったシュシュを見る。今までもすごく大切なものだと思っていたけど、今までよりもっともっと大切な……大事なものになった。

 やっぱり真人は……私の旦那様はすごい人だ。

「指輪も、シュシュも、大事にしなさいね」

「うん!」

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