第395話 誕生日プレゼントは……

 綾奈の家に戻り、明奈さんが作ってくれた昼食を食べて、俺たちは猫カフェ……ではなく、その前にアーケード内にあるゲーセンにやって来た。

 実は猫カフェの来店は時間指定がされていて、俺たちが入れるのはお昼の二時から三時の一時間だけだ。

 ちょっと短い気もしなくはないが、オープンしたばかりの人気店だ。出来るだけたくさんのお客さんに楽しんでもらうための措置とあったので、時間が経って落ち着けば、もっと長い時間楽しめると思うので、機会をみてまた行ってみよう。

 そしてこのゲーセンに来た目的なんだけど、ここでガッツリ遊ぶためではもちろんない。店長の磯浦さんには悪いが、そんなことをすれば猫カフェに行けなくなってしまうので、ここで遊び倒すのもまたの機会だ。

 じゃあ、なんでゲーセンに来たのかというと……。

「えへへ~、真人と久しぶりのプリクラ、楽しみ~♪」

 綾奈の誕生日記念で、二人でプリクラを撮りに来たのだ。

 プリクラを撮るのも約二ヶ月ぶりだ。

 あの時は綾奈と千佳さんが所属する高崎高校の合唱コンクール全国大会金賞の打ち上げアンド祝勝会でここに来てプリクラを撮ったっけ。

 一哉や茜たちと六人で楽しく遊んでいたのに、中村が出てきてちょっとした騒動に発展したが、あれがあったから、この短期間で綾奈と婚約関係になれたのも確かだから、きっかけを与えてくれたという点ではいい思い出だ。

「ん? やぁ中筋君、西蓮寺さん。いらっしゃい」

 店内に入り、プリ機があるエリアまで歩いていたら、その途中で進行方向からこのゲーセンの制服を着たガタイのいい男の人が俺たちに声をかけてきた。

 このゲーセンの店長、磯浦颯斗さんだ。今日も制服がなかなかのピチピチ具合だ。

「「こんにちは店長(さん)」」

 俺たちは店長のそばまで移動して揃って挨拶をした。大晦日のデジャブかな?

「今日はプリクラを撮りに来たのかい?」

「そうなんです。綾奈の誕生日記念で」

「おお、そうなのか! 誕生日おめでとう西蓮寺さん」

「えへへ。ありがとうございます店長さん」

 店長に祝ってもらえて、綾奈もにこにこしている。

「おや? 西蓮寺さんが右手首にしてるそれって……」

 店長が綾奈が着ているコートの袖から見え隠れしている物を見つけたようだ。まぁ、それはピンクだから目につきやすいよな。

「はい! 真人から誕生日プレゼントでもらったシュシュです!」

 綾奈は右手を肩の高さまで上げ、コートの袖を引っ張り手首にしているシュシュを店長に見せた。

「へぇ、可愛いシュシュだね。中筋君、いいのチョイスしたね」

「ありがとうございます」

 俺は店長から高評価をもらいながら、綾奈にプレゼントを渡した時のことを思い出していた。

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