第387話 お泊まり記念の写真
俺の髪を堪能した綾奈。今は俺の胸とお腹を背もたれにして座っていた。綾奈から俺が使わせてもらったのと同じシャンプーの匂いがして、さっきの綾奈の言葉も相まってすごくドキドキする。
ホットミルクをくいっと飲んだ綾奈は、マグカップをローテーブルに置き、今度は同じくローテーブルに置いてあったスマホを手に取り、操作を始めた。
自分の奥さんとはいえ、勝手にスマホを見るのはいけないので、俺は顔を上に向ける。
そうしたら綾奈はすぐにスマホを上に向けた。
綾奈の手の動きに反応した俺は、つい綾奈のスマホを見てしまったんだけど、綾奈はスマホのディスプレイをこちら側に向けていて、その画面には今現在の俺と綾奈が写っていた。
つまり、カメラモードを起動していた。
「写真撮るの?」
「うん。真人のお泊まり記念」
綾奈の部屋で、綾奈はパジャマで俺は寝間着のスウェットで、いかにもお泊まり感満載だし、俺たちの仲の良さも伝わりそうないい写真になりそうだな。
綾奈は笑顔でピースをしたので、俺も一緒にピースサインをして、綾奈が画角を微調整して、シャッターが切られた。
「えへへ。真人とツーショット」
撮った写真を見てご満悦の綾奈。そんな嬉しさ全開の声を聞いて、俺も自然と嬉しくなる。
「あとで真人に送るね」
「うん。お願いね」
送られてきたら、すぐに壁紙にしよう。
「私たちって、これまであんまり写真って撮ってこなかったから、これからいっぱい撮っていこうね」
……確かにそうだ。綾奈に言われるまであまり考えなかったけど、確かに俺たちって写真をあまり撮ってこなかった。
これでは形として残らないな。……心の中の思い出は既にいっぱいだけど、やっぱり見返したくなるからな。
「だね。しばらくは意識して撮っていこう」
「うん!」
出来るだけシャッターチャンスは見逃さないようにしないとな。
特に猫カフェではいっぱい写真を撮らないとな。
綾奈が猫と戯れてる写真は何がなんでも撮影したい。きっと永久保存版になるだろうな。
それからドゥー・ボヌールに行ってからも写真を撮らないといけないな。
俺の作ったガトーショコラを食べているところとかね。
俺の手作りバースデーガトーショコラがあるのを伝えるのは、明日、ドゥー・ボヌールに行ってからだな。今言ったらサプライズではなくなってしまう。
明日用意しているケーキは俺が作ったって知ったら、綾奈はどんなリアクションをするかな?
絶対びっくりするとは思う。あとは、感極まって泣いちゃうとか?
なんにしても、ここに来る前にありったけの気持ちを込めて作ったから、きっと喜んでくれるはずだ。
翔太さんからも一応合格をもらえた俺のガトーショコラ……喜んでくれるといいな。
それからは、しばらくして落ち着いた綾奈と、日付が変わるまでお喋り、そしてイチャイチャし、日付が変わった瞬間に『おめでとう』と言い、それから綾奈とキスをして、左手どうしを合わせる、俺たちだけの、定番になりつつある儀式をしてから真理姉ぇの部屋へと戻った。
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