第361話 校門で綾奈達を待っていたのは……

 そして放課後。

 俺、一哉、健太郎、香織さん、そして杏子姉ぇの五人とは校門前で綾奈たちが来るのを待っていた。

 昨日みたいに教室で到着を待ってると、ここまで来てくれた綾奈たちを二日連続で待たせてしまうようになるので、今回はここで待つことにした。

 茜がいないのは部活に行ってしまったからだ。雛先輩も今日は先に帰ったらしい。

「杏子先輩。さようなら」

「バイバ~イ」

「杏子ちゃん。また明日ね」

「うん。また明日~」

 すごいな杏子姉ぇ……いろんな生徒から挨拶されているな。男子も女子も関係なく声をかけられて、みんなに気さくに挨拶を返している。

「すごいな杏子先輩」

「ね~。さすが人気女優」

 みんなも同じ感想を抱いていた。

 しかし、これだけフランクに、そして笑顔で挨拶をしていたら、男子から勘違いされそうな気もしないでもないが……まぁ、杏子姉ぇなら自分でも対処出来るだろうから問題ないだろう。

「おっ!」

 杏子姉ぇがみんなに挨拶をしている中、綾奈たちが来る方向を見たら、ちょうど遠くから綾奈たち四人がこっちに歩いてきていた。

 あ、綾奈も俺に気がついたみたいで、小走りになって近づいてきた。

「まさと~!」

 そのままの勢いで、綾奈は俺に抱きつき、俺の胸に頬ずりをしている。嬉しいんだけど……綾奈さん、ここが外で、ちょうど下校している生徒にめちゃくちゃ見られてるんですけど。

 杏子姉ぇに挨拶していた人もいきなりのイチャイチャ展開にびっくりしてるし。

「この二人は相変わらずだな」

「ね~。さすが真人君と綾奈ちゃん」

 香織さんもすっかり俺と綾奈のやり取りに慣れたみたいだな……じゃなくて!

「綾奈、綾奈!」

 俺は未だに俺に抱きついている綾奈の両肩を揺すった。綾奈のいい匂いが俺の鼻腔をくすぐってドキドキするけど今はそれどころではない。

「えへへ~、真人の女だよ~♡」

 それ、まだ気に入っていたのか!? あれから三時間以上は経過してるからてっきり落ち着いているものと思っていたのに……。これは数日は引っ張りそうだな。……じゃなくて!

「綾奈。!」

「みんなって、香織ちゃんたちじゃあ…………って、ふえぇ!?」

 俺の胸から顔を離し、俺の後ろにいる面々を見た綾奈はとても驚いていた。

 そりゃそうだ。何しろ俺の後ろには、茜と雛先輩を除いたいつものメンバーに加え、俺のクラスメイトの約三分の一がそこにいたのだから。

というか綾奈は近づいてくる時に見えてなかったのか?

……お、俺以外見えてなかったのかもしれないが、そう考えるとめちゃくちゃ嬉しくて照れてしまうな。

「みんなお疲れ……って、なんでこんなにいるん?」

 遅れてやってきた千佳さんと江口さんと楠さんの三人。代表して千佳さんがこの光景に驚きの声を上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る