第313話 一緒のベッドに

 食事が終わり、片付けも綾奈がやってくれた。

 俺もせめて片付けくらいはと思ったんだけど、調理の時と同じ理由でキッチンには入られせてくれなかった。

 お腹がこなれたくらいに湯船にお湯を張り、水着に着替えて一緒にお風呂に入った。ちなみに俺が先に入り、あとから綾奈も入ってきた。

 この白く可愛らしいビキニも見るのは三回目なのだが、いつまででも見ていられるほど見惚れてしまう。

 髪と背中を洗いっこして、湯船に二人で浸かって会話をしたり少しイチャイチャもした。

 お風呂から別々に上がると、俺の部屋で髪の乾かし合いもした。昨日は出来なかったから、お互いしっかりと乾かした。

 髪も乾かして、あとは寝るだけなのだが、時刻はまだ夜の九時過ぎ……寝るにはまだ早い。

 俺はゲームを起動し、茉子が来た時にプレイした対戦アクションゲームをした。

 お互い『打倒、茉子』という目標があるので、つい熱中してしまい、気づいた時には十一時を過ぎていた。

 得意なキャラを使っていなかったとはいえ、何回か綾奈に負けてしまったのは悔しかったが、綾奈が勝ったときの笑顔が可愛すぎたので、それを見た瞬間に悔しさは遥か彼方に飛んでいった。

「そろそろ寝よっか」

「うん」

 俺はゲームの電源を落とし、寝る前にトイレに行くために部屋を出る。

 ……今日は、綾奈と一緒に寝るんだよな。

 お泊まり初日の翌朝は、目が覚めると綾奈が俺の布団に潜り込んでいたし、年越しも俺のベッドで一緒に新年を迎えた。だが、同じベッドで朝を迎えてはいない。

 今夜は朝まで一緒のベッドで寝るわけだが……いざそれを意識してしまうとものすごくドキドキしてきた。

 普段からイチャついている俺たちだ。ベッドに入ってそのまますやぁ……なんてことは、ないだろうなぁ。

 既にキス以上のことを少なからずとはいえしているけど、それでも綾奈が嫌がるかもしれないから、キスでとどめるようにしないと。

 俺は座って用を足しながら、心を落ち着けるために何度も深呼吸をした。

 五分くらいそうして、ようやくトイレから出た。

 大きい方をしたわけではないのに、随分と綾奈を待たせてしまったかな?

 俺はしっかりと手を洗い、自分の部屋へと戻る。

 階段を一段、また一段と上っていると、それに比例して心拍数も上昇していった。心を落ち着けた意味がまるでない。

 自分の部屋の扉の前で、またも深呼吸をする。

 寒さと緊張で身体が震える。もしかしたらまた雪が降っているのかもしれない寒さだ。

 母さんたちも雪で日帰り旅行から帰れなくなったしな。

美奈のやつは茉子の家でちゃんとしてるのかな? 茉子や茉子のご両親に迷惑かけてないといいけど。

 いや、そんなことより、いつまでも綾奈を待たせるわけにもいかないので、俺は覚悟を決めて部屋に入った。

 部屋に入ると暖房がついているので身体が温まっていく。

 部屋を見渡すが、綾奈の姿が見えない。

 ベッドを見ると、掛け布団が盛り上がっているので、既に布団に潜り込んでいるようだ。

 俺がベッドを見ていると、掛け布団からひょっこりと綾奈が顔を出してきた。

「お、おかえり真人」

「ただいま。綾奈……」

 綾奈の顔が赤い。布団に潜っていて熱がこもっているから……だけではないよな。

「寒いでしょ? 早く入って」

 綾奈は掛け布団をめくり、早くこっちに来いと促してくる。

「わ、わかった」

 俺は緊張しながらもそう返し、綾奈の待つ俺のベッドに入った。


 ゲームを終え、私はトイレに行った真人を部屋で待っていた。

「い、いよいよ、真人と一緒に寝るんだよ、ね」

 そう考えると緊張してそわそわしてきた。

 お泊まり初日の夜は、こっそり真人のベッドに入ってそのまま寝ちゃったけど、今日は最初から一緒のベッドに入って寝るんだもん。緊張しないほうが無理だよ。

「真人、遅いなぁ……」

 真人がトイレに行ってから、かれこれ三分以上が経過しているのに、真人がまだ帰ってこない。

 お腹が冷えちゃったのかな?

 それとも、真人も緊張して……?

 どちらにしても、トイレも廊下も冷えきってるから、戻ってくる頃には真人の身体も冷えちゃうよね。

 ちょっと悪い気もするけど、先に布団に入って私の体温で温めておこう。

 私は真人のベッドに入り、掛け布団を頭までかぶった。

 真人の匂い……私の大好きな匂いだからすごく安心する。

 あ、部屋のドアが開いた。真人が帰ってきたんだ。

 そう思うと、私の心臓がすごくバクバクしだした。

 真人をそのまま立たせておくわけにもいかないので、なるべく緊張を表に出さないように努めながら、私は真人をベッドに入るように促した。

 こ、今夜……緊張しすぎて眠れないかも。

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