第274話 元クラスメイトたちからの呼び出し

 色々濃いイベントが盛りだくさんだった元日の翌日。

 腰の痛みが少しだけマシになった俺と綾奈は、俺の部屋でゲームをしていた。

 今プレイしているのは、以前美奈と茉子と四人でトーナメントをした対戦格闘ゲームだ。

 なんでも綾奈は、「次にマコちゃんと対戦する時のために練習する」と言い出し、そして俺は、それに付き合って一緒にゲームをしている。

 確かに、綾奈はゲームに慣れてないとはいえ、勝負にもらならなかったもんな。練習したくなるのもわかる。

 俺もこの前のリベンジをしたいし、結果、二人して打倒茉子を目標に練習をしていた。

 ちなみに美奈は今日も出掛けている。……あいつ宿題したのか?

「むぅ……また負けた」

 何度か対戦したのだが、ことごとく俺が勝利していた。

 俺もこのゲームはけっこうやっているので、まだまだ綾奈に負けることはないだろう。

 綾奈に花を持たせるため、手加減をしようと思ったのだが、綾奈から手加減はしないでと言われていたので、全力で綾奈の操作するキャラを落としまくっていた。

「やっぱり難しいね」

「綾奈は操作に慣れてないのもあるけど、このゲームは一瞬の判断も重要になるからね。茉子のような上級者と対戦するなら、操作を完璧にマスターして、なおかつ判断力を鍛えないとね」

「わかった。真人、もう一戦お願い」

「もちろん。とことん付き合うよ」

 それから何度も対戦したが、結果は俺の全勝だった。

 途中、何度か危ない場面もあったけど、なんとか経験者の面目を保てた。

 手加減をするなと言っていた綾奈は、やはり一回も勝てなかったことに少しだけ拗ねていたが、俺が頭を撫でると気持ちよさそうにし、機嫌もあっという間に直っていた。こんなにチョロくて大丈夫なのかな?

 休憩でトイレから戻ると、俺のスマホに、メッセージアプリからの通知が入っていた。

「真人おかえり。メッセージ見てみて」

「ただいま。どれどれ……?」

 ローテーブルのそばにゆっくりと腰かけ、俺はスマホを手に取りメッセージを確認する。

 どうやら中学三年の時のクラスのグループチャットのメッセージのようだ。

 懐かしいな。このグループ、まだ健在だったのか。

 中学卒業から少しして、全く稼働してなかったから、このグループが残っていることさえ忘れていた。

 おっと、今はメッセージを確認しないとな。

「……え?」

 メッセージを確認した俺は、驚きの声をあげた。


【中筋真人と西蓮寺綾奈の両名はドゥー・ボヌールに来られたし】


 ……なんでこんな業務命令のようなメッセージが来てるんだ? しかも俺と綾奈を名指しで。

「ねえ、綾奈。これってどういうこと?」

「私もわかんない」

 綾奈はふるふると首を横に振った。

 だよな。一体なんなんだ?

 あーでも、俺と綾奈を同時に呼び出すということは、去年までのクラスメイトに、俺たちの関係がバレたということだろう。

 一体誰が言ったんだ? 千佳さん? それともクリスマスイブのデート前、綾奈を待っていた時に再会した野球部トリオか? 一哉の線もありえるな。中三の時はクラス違ってたけど。

 でも、このまま応じないのも感じが悪いので、とりあえず行くか。

「仕方ない。行くか」

「うん。行こう、真人」

 こうして俺たちは、了承の旨を送信し、部屋着から私服に着替え、手を繋いでドゥー・ボヌールに向かって歩き出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る