第272話 さっそく支え合う夫婦
西蓮寺家での昼食を終え、俺と綾奈は俺の家に戻ってきた。
玄関を開けようとしたら、鍵がかかっていて開かなかった。
父さん達は父さんの実家に行くって行っていたから、まだ帰っていないのだろう。
美奈は、本当に茉子の家に遊びに行っているみたいだ。
俺は持っていた家のカギで玄関を開けた。
「「ただいま」」
俺たちは揃って「ただいま」と言った。綾奈もすっかり慣れたようだ。
「おかえり、綾奈」
「真人も、おかえりなさい」
そして、一緒に出かけていたにもかかわらず、俺たちはお互いに「おかえり」と言った。
こうしたやり取りもすごく幸せに感じる。
俺たちは手洗いとうがいを済ませ、俺は飲み物を用意しようと思い、リビングに入りグラスを取り出した。
「真人。私が飲み物を作るから真人は先に部屋に行って着替えてきて」
「え?」
「真人にはいつもしてもらってるし、それに真人は腰を痛めてるから、階段も辛いでしょ? だから今日は私に作らせて」
確かに、この状態でトレイを持ったまま階段を上ったら、痛みでグラスを落としてしまって大惨事にでもなったら……。うん。無理はしない方がよさそうだ。
「えっと……じゃあ、お願いできる?」
「もちろん」
綾奈は満面の笑みで言った。条件反射のように俺の顔は熱くなった。
「ごめんな」
「二人で支え合っていこうって言ってくれたのは真人だよ? だから謝る必要なんかどこにもないよ」
それは、さっき綾奈の家で俺が言った言葉だった。
忘れてたわけではないけど、綾奈に言われてハッとした。
綾奈も、俺の助けになるように行動してくれている。
将来、夫婦になる身としては、ここは謝る場面ではない。
「……うん。ありがとう綾奈」
「ううん。真人を支えるのは、妻として当然だもん」
俺たちはまた笑いあい、綾奈のお言葉に甘えて、俺は先に部屋に行き着替えて綾奈を待った。
美奈の部屋で着替えてきた綾奈と話をしたり、イチャイチャしたり、腰のマッサージをしてもらったりして、俺たちは夕食までの時間、甘いひとときを堪能した。
美奈が茉子の家から帰ってきたのは、空がすっかり暗くなったあとだった。
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