第253話 美奈と茉子も合流
「茜ちゃん久しぶりー!」
「美奈ちゃーん! 元気してたー?」
そんなこんなで、四人で一哉たちと再合流したわけだが、美奈がいきなり茜に抱きついた。
前に千佳さんが家に来た時も抱きついてたけど……なに? 俺の妹は年上の女性に抱きつく癖とかあんの?
「てか、美奈ちゃん大きくなったねー!」
「私も中学二年だからね」
茜が風見高校近くに引っ越してからは、二人は会っていない。最後に会ったのは、美奈がまだ小学校低学年の時だったか。
「久しぶりだな美奈ちゃん」
「うん。一哉君も久しぶり」
美奈も一哉とはそれなりに長い付き合いだからタメ口で話している。
「茜ちゃんとはラブラブなの?」
「まぁね。さすがに真人たちほどではないけどな」
「この二人よりラブラブだったら色々問題だよ」
「どういう意味だよ!?」
何故か俺と綾奈に飛び火した。
「さっきの事を思い出してみなよお兄ちゃん」
「すみませんでした」
「あぅ……」
さっき思いっきり綾奈と二人の世界に入ってました。
「美奈ちゃん、久しぶりだね。僕が誰だかわかるかな?」
「お久しぶりです清水先輩! 本当、すっごいイメチェンしましたよね」
「あたしが前に写真見せたんだよ」
「そうだったんだね。ありがとう千佳」
「べ、別に礼を言われることじゃないって」
千佳さんの顔が赤くなってる。きっと照れているのだろう。
ただ、ここでまたそれを口にすると、腰に千佳さんの平手打ちがやってきそうなので心の中に留めておいた。
「だから真人うっさい!!」
だが、何故か千佳さんから平手打ちが飛んできて、俺の腰がまたダメージを受けた。
「痛い!! ちょ、俺何も言ってないじゃん!」
「顔がうるさかった!」
「えぇ……」
そんな理不尽な……。
「真人お……先輩、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ……ありがとうマコちゃん」
茉子の奴、ここで「お兄ちゃん」って言おうとしたな。ここでその呼び方をすると、絶対に一哉がめんどくさい方向に話を持っていこうとするから、すんでのところで止めてくれてありがたかった。
「大丈夫中筋君? もぉ~千佳ちゃん、ダメだよ。中筋君は腰を痛めてるんだから~」
雛先輩がさっきみたいに俺の腰をさすってくれている。嬉しくないと言えば嘘になるんだけど、本当、どうしたんだろう雛先輩?
「雛さん、真人なんてほっとけばいいんですよ!」
「ん~、でも本当に痛そうにしてるし~、やっぱり心配だから~」
千佳さんの言葉に少しだけ考える素振りを見せた雛先輩だったが、そのままさすってくれた。
「むぅ……」
だけど、やっぱりお嫁さん的には複雑な心境みたいだ。ごめん綾奈。雛先輩の厚意を無下に扱うのは俺には出来そうにない。
「えっと……」
「あぁ、悪い北内さん。えっと───」
美奈は北内さんと雛先輩を、茉子はほぼ全員知らないと思ったから、俺は二人にみんなを紹介した。
「わぁ~、中筋君の妹さん、かわいいわ~。よろしくね美奈ちゃん」
「は、はい。……って、え、ちょ!」
雛先輩は優しく美奈を抱きしめ、突然の雛先輩の行動に戸惑っている美奈。
「お、お兄ちゃん、清水先輩。た、助けてください~」
「雛さんダメです! 美奈ちゃんのお姉ちゃんは私です!」
俺や健太郎が動き出す前に、綾奈が美奈の後ろから引き剥がし、そのまま美奈を後ろからハグしている。
「お、お義姉ちゃ~ん」
綾奈によって助け出された美奈は、綾奈の正面に向き直り綾奈を抱き締め返した。
「ダメだよ姉さん。いきなり抱きついたら美奈ちゃんも困惑するんだから」
「は~い。ごめんね美奈ちゃん」
弟にダメ出しされて落ち込んでいる雛先輩。このイケメンと美人姉弟二人が並んだらマジで注目浴びるな。
「い、いえ、お気になさらず。突然でびっくりしただけなので。……お義姉ちゃんとは違う柔らかさやいい匂いで、今となってはむしろもう少し堪能したかったというか」
美奈の奴が何かをボソボソと言っている。割と近くにいるけど、周りの喧騒にかき消されて聞こえなかった。
ただ、綾奈が少しショックを受けていることから、ロクなことを言っていないのは確かなようだ。
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