第247話 仲良し6人組が神社に集結
「ごめんね真人」
「もういいよ綾奈」
俺と綾奈は麻里姉ぇたちと別れ、一哉たちとの集合場所に向かっていた。
移動している間、綾奈はさっき、明奈さんが俺に抱きついているにも関わらず、俺が可愛いという話題を明奈さんと話していたことへの謝罪の言葉を何回も口にしていた。
恥ずかしかったのは確かだけど、すぎてしまったのもは仕方ない。最初の場所から離れれば、もうヒソヒソとさっきのことを話す人たちもいなくなるわけだし、そもそも顔も覚えてないし。
「それより一哉たちは境内から少し離れた所にいるってメッセージがあったけど……」
「おーい! 真人ー、綾奈ちゃーん!」
人混みとその喧騒の中から、俺と綾奈を呼ぶ声が聞こえてきた。
声がした方向を見ると、俺たちに向かって手を振っている茜の姿を見つけ、その後ろに一哉たちもいた。
俺たちは四人の元へ向かった。
「やっほー二人とも。あけましておめでとう」
茜に続き、俺たちは新年の挨拶を言い合った。
「茜と千佳さんも着物着てきたんだね」
茜は赤の、そして千佳さんはオレンジ色の着物を着ていた。二人とも美少女だからすごく様になっている。てか、千佳さんの髪型、一体どうなってんだ?
「カズくんが見たいって言ってたからご要望にお応えしてみました」
「あたしも似たような感じだよ」
彼女の晴れ着姿を見たいってのは、やっぱりみんな同じなんだな。
「なるほど。で? 彼女の晴れ着姿を見たお前らの感想は?」
「んなもん最高に決まってるだろ」
「だね。千佳、凄く綺麗で見惚れたよ」
「あれ? 健太郎、千佳さんを呼び捨てにするようになったんだ」
「うん。恋人なのに、いつまでもさん付けにするのもどうかと思ってね」
綾奈と同じだな。
健太郎と千佳さんは本当に強い絆で結ばれている。
この二人が俺たちや一哉たちみたいに、イチャイチャした場面はあまり見たことがないが、それでもお互い愛し合っているのは見てすぐにわかる。
「てか真人。お前はどうなんだよ?」
「どうとは?」
あえてすっとぼけてみる。
「西蓮寺さんも晴れ着を着てるじゃないか。それを見てどうだったんだよ」
「そんなんわかりきってるだろ」
「いや言えよ。お前だけ言わないのはずるいぞ!」
「まぁ正直、綺麗すぎて見惚れたよ」
その上、一番最初は俺に見てほしいって言われたから、思い出したらまたドキドキしてしまった。
「真人……」
綾奈が俺と恋人繋ぎしている手をにぎにぎしてくる。加えて頬を赤らめての微笑み。綾奈のような超がつく美少女に、こんなコンボを決められてドキッとしない男はいないと思う。
「真人が照れてる~」
茜が俺を指さし、ニヤニヤしながら言った。
「照れない方がおかしいだろ」
「それにしても西蓮寺さん、お前を呼び捨てにするようになったんだな」
一哉も俺と同じく、小学校と中学校が綾奈と、そして千佳さんと一緒で、綾奈が誰に対しても呼び捨てにしないのを知っているから驚いているようだ。
「まぁ、いろいろあってな」
「その一番の要因は、やっぱりあの指輪?」
「うん」
イブデートのスタートから、綾奈は俺を呼び捨てにしようと頑張っていたが、もう少しのところで「君」をつけてしまっていたけど、あの観覧車で指輪を渡した時に初めて呼び捨てで呼んでくれた。
あの時はすごく嬉しかったし、タイミング的にもクるものがあってものすごく照れてしまったっけ。
「あっ、ほんとだ。綾奈ちゃん指輪してる!」
「うん。イブに真人から貰ったんだ」
綾奈は茜が指輪を見やすいように左手を上げ、その綾奈の左手を茜が両手で掴み、まじまじと指輪を見ている。
「すっごい可愛くて綺麗な指輪だね」
「えへへ~。これで本当に真人のお嫁さんになれました♡」
「っ! 痛っ」
綾奈の反則的不意打ちに、俺はまたしても照れてしまう。
咄嗟にいつもの照れた仕草をしてしまったことにより、俺の腰に痛みが走った。
「真人、大丈夫!?」
「だ、大丈夫。だからあまり心配しなくてもいいよ」
「何? 真人、あんた腰痛めてんの?」
千佳さんが俺の後ろに回り、腰を見ながら言った。
「ちょっと昨日、いろいろあってね」
「いろいろって……まさかお前ら、本当にひめ───」
「違うって言ってんだろ! いって!」
「あぅ~……」
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