第231話 真人が出ていった浴室で……
「真人、出ていっちゃった……」
私は、さっき真人が出ていった浴室のドアをじっと眺めていた。
真人が戻ってこないのを確認して、私は少しだけ気落ちしながら着ていた水着を脱いだ。
まさか身体洗ったあと、すぐに出ていっちゃうとは思わなかった。
てっきりそのまま湯船に入ってくるかと思ってスペースを空けてたのにな。
私はこの後の展開として、二人で照れながらもお風呂でお話をしたり、真人の患部のマッサージをしたり、そ、それから……イチャイチャしたり、なんかも考えていた。
真人といつもしてる何気ない会話や、今日の商店街であったこと……友達になった香織ちゃんのことも少しお話出来たらなって思ってたし、明日の初詣についてもどうするのか聞きたかった。
真人は腰を痛めてるから安静にした方がいいに決まってるから、明日の初詣は行けないのかな?
もちろんそれが真人の為ってわかってるんだけど、自分の欲を言えば真人と一緒に初詣に行きたいし、晴れ着の感想も聞きたい。
それに、風見高校の近くに住んでいる茜さんと清水君もこっちの神社に来るって言ってたから、元日から六人揃うことがとても嬉しかったんだけど、真人の身体を考えたら仕方ない、よね?
マッサージは、ここではちゃんとしたのは出来ないけど、それでもしないよりはマシだし、熱いお湯の中だから、それだけ血行が促進されて良くなるのも早くなるかと思った。
上手く出来るかわからないけど、マッサージはあとで真人の部屋に行ってやってあげよう。
「はぁ……」
イチャイチャ、したかったな……。
真人の部屋と、さっき脱衣場で真人にギュッて抱きついてキスもしちゃったけど、正直もうちょっとだけキスがしたかった。
恐らくここが、今日キスが出来る最後のチャンスだった。
真人が部屋に戻ったら、腰に負担をかけないようベッドに横になっちゃうはず。仰向けがうつ伏せで寝ると思うからキスは出来ない。
仰向けならベッドに侵入出来なくもないけど、真人の腰を考えるとそれも出来ない。
こうなったのは私が原因だから、我慢しなきゃって思うんだけど、こうも毎日いっぱいキスをしていると……抑えきれなくなる。
でも、ダメダメ。こんな時くらい自分の欲求を律しないと。
自分の欲求に従った結果、真人は負わなくてもいい怪我をしてしまったんだから。私の気持ちより真人の身体を優先しないと。
冬休みはまだ半分くらい残ってるから、これからまたいっぱいイチャイチャ出来る。
だから焦ることはない。自分の気持ちをコントロールすればいいだけ。
「……我慢、出来るかな?」
はっきり言って、我慢出来る気がしないけど、それでも私から求めないようにしなくちゃ。
そこからも私は悶々としてしまい、いつもより長くお風呂に入ってしまった。
三人がまだ入っていないのに、こんなに長風呂しちゃって申し訳なく思ってたんだけど、雄一さんも良子さんも美奈ちゃんも、心配こそすれ長風呂を非難されることはなかった。
旦那様だけでなく、そのご家族全員優しすぎるよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます