第228話 水着姿に見惚れる真人
「───ということで、真人のご両親にはちゃんと許しをもらえてるよ」
「な、なるほど……」
俺はタオルを腰に巻きつけながら綾奈の説明を聞いていた。
綾奈を見てしまうと、どうしても水着姿に釘付けになってしまうから、綾奈を見ずにだが。
まさか父さん達が許可をくれるとは思ってなかったから驚きだ。
そして綾奈の行動力にも。
俺がこうなった責任をまだ感じているんだろうことは想像に
「ありがとう。綾奈」
それから俺は綾奈にお礼をいった。相変わらず綾奈を見ずに。
「真人」
「ん?」
綾奈が俺を呼んだので俺は返事をした。綾奈の声は、どこか恥ずかしさや照れがあるように感じた。
「……こっち、見て」
「…………いいの?」
綾奈の言葉に、すぐに振り向かずにわざわざ確認を取ろうとしている俺。相変わらずのヘタレである。
「うん。……その、少し恥ずかしいけど、真人に見てもらいたい。元々、真人に見てほしくて、夏にこの水着買ったから」
「っ!」
夏って、合唱コンクールの前か? それとも後?
いや、どっちだとしても、夏には俺たちの接点はほとんどなかった。合唱コンクール前は全くと言っていいほど綾奈との繋がりはなかったし、合唱コンクール後にしても、帰る前に綾奈と数分言葉を交わしただけで、特にそれ以上何もなかったし、連絡先も聞けなかったから次会えるのは文化祭だと思ってたから。
まさか綾奈が俺に見せるために今着ている水着を買っていたなんて。
驚きと嬉しさで、俺の心臓はものすごく早鐘を打っている。
俺はゆっくりと綾奈の方を見た。腰が痛くならないように身体ごと綾奈に向けるようにして。
そしてゆっくりと下から上へ視線を動かしていく。白く細い、綾奈の美脚が顕になっている。
フリルスカートがついた水着なので、綾奈の太ももが部屋着のショートパンツを着用した時と同じくらい露出されている。だけどショートパンツを穿いている時以上に見ていてドキドキする。
そのフリルスカートがとても可愛らしく、綾奈によく似合っている。
手は後ろで組んでいるみたいで、今綾奈の手はお尻にあるみたいだ。
ウエスト周り。運動が苦手と言っていたけど、それでも無駄な肉は一切付いてなくて細い。初めてのお家デートで綾奈のお腹に触った時はその細さに驚いたけど実際見たら納得だ。
そしておへそも可愛い。
ビキニの上部分。綾奈が入ってきた時は焦ってよく見てなかったんだけど、これまたフリルがついているので、露出自体はビキニにしては控えめ。だけど、綾奈の胸の膨らみははっきりとわかるし、谷間が少しだけ顔を覗かせている。
昨日、少しだけ触ってしまったけど、綾奈の胸って(千佳さんには劣ってしまうけど)やっぱり大きい。
デコルテ部分も美しく、鎖骨も見ててなんかドキドキする。
綾奈は確かに細いけど、それでも細すぎるというわけではない。健康的な細さと言える。
綾奈の顔は、俺が下から上へゆっくりと顔を上げているから、じっくり見られていて恥ずかしいのかとても赤い。目もすごく泳いでいる。
髪はまだ後ろで束ねられている。普段見ない髪型だから、まだ新鮮味が抜けない。
「えっと、……ど、どうかな? 変じゃない?」
「へ、変なところなんかひとつもないよ。可愛くて、とても綺麗だから……正直、見惚れる」
こんな時、いつもは目を逸らして言ってしまうんだけど、今回は真っ直ぐ綾奈を見て言った。正確には、綾奈から目が離せないだけなんだけど。
「よかった。……ありがとう真人。とっても嬉しい。……えへへ♡」
「っ!……いてて」
その恥じらいを帯びた笑みは非常に可愛く、ドキッとして思わず首ごと顔を逸らしたのだが、その衝撃で腰に痛みが走った。
「だ、大丈夫真人!?」
「だ、大丈夫! ちょっと痛いだけだから!」
俺を心配して、膝を折り近づいてきた綾奈。少し屈んでいるので綾奈の果実が作り出す谷間が目に入ってしまったので咄嗟に目を瞑る。非常に目に毒だ。
「でも、そんなに力いっぱい目を瞑って……やっぱり腰が痛むんじゃ……」
心配してくれるのはすごくありがたいんだけど、俺が目を開けれないのはあなたのせいなんですよ綾奈さん。
「本当に大丈夫だから。心配しないで」
「むぅ……じゃあどうして目を開けてくれないの?」
俺を心配してくれているからこそなんだろうけど、正直に言うと、綾奈は絶対に恥ずかしがってしまうけど……仕方ないか。
「……あ、綾奈が今の体勢をやめてくれたら目を開けるから!」
「今の体勢…………あっ」
自分が今どんな体勢をしているのかを理解したのだろう。綾奈が少し離れた気配がしたので、俺はゆっくりと目を開けた。
すると、綾奈は顔を真っ赤にしながら両腕で自分の胸を隠すようにしていた。
「えっと、……ご、ごめんね。変な物見せちゃって……!」
「謝らないでいいから。むしろ……見れて良かったというか……」
さっき見た綾奈の谷間を思い出してしまい、何を言ってるのかわからなくなってきた。
「あ…………あぅ」
俺の言葉を聞いてさらに顔を赤くする綾奈。
そこから微妙な空気になり、数秒沈黙が流れる。
「と、とりあえず背中洗うから」
先に沈黙に耐えられなくなった綾奈は、そう言うと、いつも身体を洗っているタオルを手に取った。
「じ、じゃあ、お願いするね」
俺は綾奈が後ろを向いてくれている間に、腰に負担をかけないようゆっくりと湯船から出て、ゆっくりと椅子に座った。
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