第207話 トーナメント戦をしよう

 そんなこんなでゲームを起動し、タイトル画面がテレビに表示される。

「せっかくだから、トーナメントやろうよ」

 唐突に美奈がトーナメント戦を提案してきた。

「いきなりトーナメントかよ」

「その方が緊張感が持てていいでしょ?」

 いや、四人でワイワイとやった方が楽しいと思うんだが……。

「ちなみに優勝者はお兄ちゃんに頭を撫でてもらえます」

 唐突に美奈が俺の頭撫でを優勝賞品にしてきた。いや、綾奈は毎日やってるし、美奈も前に撫でた時は嬉しそうにしてたけど、兄貴にそう何度も頭を撫でられても恥ずかしいだけだろうし、マコちゃんにいたっては俺に頭を撫でられるのは、セクハラとはいかないまでも嬉しくないのでは?

「絶対勝つもん!」

「絶対勝ちます!」

 綾奈とマコちゃんから気迫のこもった声が聞こえてきた。え? そんなに!?

「美奈。俺が優勝したらどうなるんだ?」

 まさか、俺が優勝しても自分で頭を撫でるとか、痛々しくて悲しくなる光景だし、誰も喜ばない結果にしかならない。想像したけど、くっそシュールだ。

「お兄ちゃんが優勝したあかつきには、お義姉ちゃんとイチャイチャする権利が与えられます」

「よし、絶対優勝する!」

「ふぇ!?」

 綾奈とイチャイチャ出来るとか最高かよ。これは本気で挑まないとな。

 毎日綾奈とイチャイチャしてるんだから、実質優勝賞品なしじゃんとかは微塵も思っていない。

「ま、真人……」

 綾奈はあわあわしながら俺を呼んだ。

「綾奈。俺、頑張るから!」

「へっ!? ……う、うん。頑張って……?」

 なんで疑問形?

 あれ? でも綾奈が優勝したら俺の頭撫でだけだけど、俺が優勝したら綾奈とイチャイチャ出来るって、……これ、綾奈が優勝するより俺を勝たせた方が綾奈にはメリットがでかい気がするんだけど。

 綾奈も毎日めっちゃ甘えてくるから、俺の考えも自意識過剰ではないはず。

 優勝賞品も決まったことろで、俺たちはキャラクター選択にうつる。

 俺は素早い動きと多彩な剣技で相手を翻弄するイケメン剣士。

 美奈はこのゲームの主人公的なポジションの、ショートレンジからミドルレンジの戦いが得意な髭を生やしたナイスミドルなおっさんキャラ。

 綾奈は軽量で吹っ飛ばされやすいが、浮遊スキルがあり復帰能力はピカイチで動きも素早いピンクの丸いキャラ。

 そしてマコちゃんはショートレンジで圧倒的な強さを発揮する、暗黒闘気を放つパワーファイターのヒールキャラを選択した。マコちゃんのチョイスには驚かされた。

 単純に実力勝負をするべく、ステージはシンプルでギミックもない場所を選択。

 ルールは一度でも画面外に吹っ飛ばられたら負けの残機なし、お助けアイテムは、取れば超必殺技が打てるようになる浮遊物以外はなしになった。

 このお泊まりで、綾奈もたまにゲームをやっているが、彼女には少し厳しい戦いになるかもしれない。

 そして対戦カードはランダムに選ばれ、一回戦は俺と美奈の兄妹対決、そして綾奈とマコちゃんの対戦に決まった。

 マコちゃんの強さは正直未知数だけど、このキャラを使うのなら、恐らく強いのかもしれない。

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