第173話 美奈の部屋の片付け①
美奈も夕食を終え、俺たちは揃って二階に上がり、美奈の部屋に入った。
数年ぶりに入った妹の部屋は……いい感じのオタ部屋になっていた。
俺の部屋よりフィギュアが多い。大きいのから小さいのまで様々だ。多分あのゲーセンのクレーンゲームで取りまくったのだろう。フィギュアの箱が部屋の隅に積まれている。そして男性キャラのフィギュアが多い。
美奈の部屋にはテレビがなく、そのスペースに本棚があり、マンガを中心に色んな本が置かれていた。
「基本的には片付いているが、フィギュアの箱や床置きしている本がちょっと目立つな」
美奈の部屋は友達を呼べないほど狭かったり、散らかっているわけではない。もしそうならマコちゃんがちょくちょくうちに来たりしないだろうしな。
多少散らかっていても、小さい頃からの親友であるマコちゃん相手だから気兼ねする心配もないのだろう。
ただ、ここで綾奈が寝泊まりすると考えると……やっぱり片付けは必要だ。
「フィギュアの箱は捨てたくないし、本もそのうち読むから床置きにしてたの」
まぁ、気持ちはわからんでもない。
いちいち本棚から取り出すのが面倒な時ってあるよな。俺も去年まではそれだったし、本棚より床に置いてある本の方が多かった。
「とりあえず始めよう。俺はフィギュアの箱を何とかするから、美奈は本を頼むよ」
「わかった。よろしくね、お兄ちゃん」
その言葉に、俺は「おう」と言って、早速片付けにとりかかった。
「さて、この積まれている箱をどうにかしないとだけど……」
フィギュアの数が多いだけあって、積まれている高さも結構なものだ。俺の身長より高く積まれている。
美奈の奴、どうやってこのタワーを作ったんだろうな。
そういや一階に高い所にあるのもを取る時に使うような台があったな。それを使ったんだろう。
俺は一度一階に降りて、その台を持ってきて、それに登り、上の方から箱を取る。
フィギュアの箱を開け、中に入っているブリスター─箱に入っているフィギュアを固定しているプラスチック容器─を取り出し、箱の底を開けて畳む。
「美奈。ブリスターはどうする?」
美奈は箱も大切にしているようなので、俺の独断でブリスターを破棄しようものなら美奈が怒りだす危険もあったので、美奈に確認をとることにした。
美奈の方を見ると、少し離れたところで俺に背を向け、床置きしていた本を拾い上げていた。
元々体が柔らかい美奈は、前屈状態で本を取っている。
真冬だけど、部屋着のショートパンツから伸びる脚が俺の目に入る。改めて見ると、美脚なんだよな。
俺の声を聞いた美奈は、上体を起こし、俺に振り向いた。
「出来れば保管したいかな」
「わかった」
さて、どうしようか。ブリスターは箱と違って畳むことは出来ないからなぁ……。かといって箱とブリスターを別けるといざ戻すとなった時にどれがどのセットだったのかわからなくなるし。
「仕方ない、か」
俺はフィギュアの箱を自分の部屋に持って行った。
押し入れにはまだ入るスペースがあるから、とりあえず綾奈が滞在する間はここに入れておこう。
だが、さすがに全部は入りきらないので、残りは美奈の部屋の本棚の上にインテリアとして置くようにした。
そんなこんなで何とかタワーが無くなった。
本を片付けていた美奈はというと、ちゃんと片付けをしていたみたいで、床に本が無くなっていた。ただ、本がちゃんとタイトル通りに並んでいないのもあるので、これは明日にでもやれば問題ないだろう。
「おつかれ美奈。そろそろケーキ食べるか」
「うん!」
片付けがキリのいいところまで進んだので、俺たちはケーキを食べる為にリビングに降りた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます