第144話 不安、再び

 真人君とデートをした翌日の日曜日の昼下がり、私はちぃちゃんと茜さんと一緒に、ショッピングモールへ来ていた。

 理由はもちろん、約二週間後に迫ったクリスマスイブに、大切な人に贈るプレゼントを買うため。

 既に真人君達はプレゼントを買い終わっているはず。何を買ったのか凄く気になる。

 私達は男性陣とあらかじめ連絡して、男性陣が午前中、そして私達が午後にこのショッピングモールでプレゼントを買うことを話し合っていた。万が一にもバッティングを避けるために。

 私達はショッピングモールに到着すると別行動をとり、モール内のテナントを見て回り、五時に店内の広場に集合する事になっている。

 現在午後三時半を過ぎたくらい。

 まだ時間はあるけど、あまり悠長にはしていられない。早くプレゼントを決めなきゃ。

 色々見て回り、私は今、とある雑貨屋さんに来ている。

 ここは以前、高崎高校の文化祭のクラスの出し物で使う物を買い出しに来た時、偶然にも山根君の誕生日プレゼントを買いに来ていた茜さんと真人君を発見したお店だ。

 その時私は茜さんとは知り合ってなくて、茜さんを背格好が似ている北内さんと誤認してしまって、真人君と北内さんがデートしていると勘違いをしてしまった場所でもある。

「……」

 北内さんの事を考えて、私の胸がズキリと痛む。

 ダメ……真人君は北内さんの告白をちゃんとお断りしたのに、なんでまた不安になるの?

 真人君は、私だけを見てくれている。そんなことはわかりきっているのに。

 私は思い切り頭を振って無理矢理考えをストップする。

 真人君と一緒にいる時は忘れられるのに、ふとしたきっかけでこんなネガティブな想像をしてしまう自分が嫌になる。

「綾奈ちゃんここにいたんだ」

「茜さん?」

 茜さんが合流してきた。

 手には購入したであろうプレゼントの入った紙袋を持っていた。

「もう山根君へのプレゼントを買ったの?」

「うん。ちなみに中身は財布だよ」

「財布?」

「うん。カズくんってかなり年季の入った財布を使っていてね。以前聞いたら小学生の時から使っているって言ってね。だから財布を選んでみました」

 茜さんは紙袋を私の前に出してきて、「えっへん」と胸を張っている。

「山根君のこと、よく見てるね」

「そりゃ、大事な彼氏ですから」

 茜さんははにかんだ笑顔を見せる。

 先輩だけど、可愛いと思った。

「綾奈ちゃん、元気ないね?」

「……うん」

 多分顔に出てたんだろうな。頭もそう簡単に切り変わらなかったし。

「よかったら、話聞くよ?」

「ありがとう。茜さん」

 私達は一旦店を出て、少し離れた所にあるフードコートに移動し、適当な場所の椅子に座った。

 そして私は、真人君が北内さんに告白された事、それをちゃんとお断りした事、その事を私に伝えてくれた事、そしてそれを聞いた私の心境。全て話した。

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