第105話 入店して割とすぐに……
俺たちはアーケード内にある書店に到着した。
店内にはあまり客がいなく、客層は俺たちと同じ学生が多かった。
「どうする?今回は一緒に見て回る?」
「うーん……今回も別々に回らない?真人君も新刊コーナー以外も見たいだろうし、一緒に回ってるとその分時間もかかっちゃうから」
綾奈の言う通りだ。
一番の目的は美奈も読みたがっていたマンガの新刊だが、その他にも既刊のマンガやラノベなんかもチェックしたかった。
綾奈も色々見たいだろうし、一緒に回れないのは少し残念だが、帰りが遅くなると綾奈のご両親の弘樹さんと明奈さんにも心配をかけてしまう為、別々に見て回った方がいいと思った。
「わかった。じゃあ一通り見たら綾奈に合流するよ」
「うん。私の方が早く見終わったら真人君のところに行くからね」
「了解。……大丈夫だと思うけど、ナンパには気をつけてね」
「ふふっ、心配しすぎだよ。でも、ありがとう」
綾奈は口に手を当てて笑った。
だが、俺としてはこんなに可愛い綾奈がいつどこでナンパに出くわしてもおかしくないと常々思っているので、やはり心配になる。
俺たちは「じゃあまた後で」と言い合い、いったん綾奈と別行動となった。綾奈が少女マンガコーナーに移動したのを見て、俺も移動を開始した。
まず俺がやってきたのはラノベコーナーだ。ほしいタイトルがなくても必ず書店に来たらチェックしている。
もしかしたら俺が見落としているだけで、俺の好みの作品があるかもしれないので、ここのチェックは欠かさない。
ラノベを物色していると、ちょっと気になるタイトルを見つけた。
ラブコメで、表紙の女の子もめっちゃ可愛い。そしてあらすじを読むと、なかなか心惹かれる。
とりあえず一巻だけ手に取り、他の棚もチェックしたのだが、その作品以外に興味をそそられる作品はなかったので他へ移動することにした。
次にやってきたのはマンガコーナーだ。お目当ては新刊が平積みにされているところだが、俺がいるのは既刊コーナーだ。
とりあえずラノベの時と同じように、マンガも既刊を先にチェックしておこうと思って来たのだが、どうやら先客がいるみたいだ。
一人は俺が去年まで通っていた中学の制服を着用している男子生徒。どうやら俺の後輩みたいだ。身長はまあまあ高い。後ろ姿しか見えないので顔はわからない。
そして後輩の奥に目をやると、そこには女子生徒が一人いた。
男子に隠れて顔がわからないが、どうやら高崎高校の生徒みたいで、背は男子生徒よりも少し低い。
そしてその女子の髪型は肩に届きそうなくらいの美しい黒髪のボブヘア……って。
「……綾奈じゃん」
マジかよ、本当にナンパされている。しかも後輩に。
俺はその女子が綾奈だと認識するとすぐに足が動き、二人に近づき背後から男子生徒に声をかけた。
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