第25話 「メルシアの思い」
ウカが気絶したのと同時にミーノが目覚めた。ミーノは正気に戻っていた。
「私、なんで血を吐いてるのですか?メルシアさん。」
「あっいや…」
メルシアはミーノが正気に戻ったのと、ウカが消えて、ミーノが急に戻ってきたからメルシアはどう答えるべきか行き詰まった。
「あなたの…中にいる人がね、私に勝負を仕掛けてきたから応戦したら、傷付かせてしまったの。」
メルシアはミーノが嫌いじゃなかった。ここまで純粋な顔をしていて、和やかな最大限の優しさがある。そのような子の顔を自分は…と考えるとメルシアは申し訳なさが勝ってしまう。
「ごめんなさい。」
メルシアは素直に謝ることにした。ミーノが何かをするとは思えないが、ここまでやってしまったのは自分の責任でもあるからと思ってのことだ。
「いいですよ!私はこういうのは好きじゃないですから、どうこうは言えないですし。それにこれは直感になりますが、メルシアさんが手加減をしていたというのが少し判ります。」
その言葉がメルシアにグサッと刺さった。図星である、ここまで適切にミーノが言ってくるので、メルシアはまた言葉がでなくなってしまった。
「あの、お願いがあるのですが、私たちを見逃してくれませんか?」
ミーノの提案にメルシアは悩んだ。本来ならばレオンの言う通りにするべきなのだが、少しミーノに友達的な思いが生まれてしまったのである。
「無理にとは言わないです。こちらはウカさんが負けた身ですから、何も口出ししてはならないというのは分かります。ですが、メルシアさんならと思いました。」
そんなことを言われてしまってはメルシアも答えるしか解答はないということが分かった。
「仕方がない。」
メルシアはミーノの縄をほどいて指を指した。
「この先にまだまだ道は続く。そこからもう少し登ったらレオン様のところになる。そこにはメルもいるから、次は…」
「容赦しないということですね、分かっています。こちらとしては見逃してくれるだけでもありがたいです。」
これ以上何も言いたくなくなったメルシアはすぐにここを立ち去ろうとしたが、ミーノが止めた。
「私、メルシアさんとお友達になれてすごく嬉しいです!」
「…。」
ミーノの満開な笑顔に少しメルシアは照れつつもそのまま突き進んで行った。レオンへの言い訳を考えながら
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