第21話 「頂き」
私と三懺悔のお3方はステージの上に立ちました。お手軽ながらも次男の次路丸さん、三男の黒丸さん、長男の太路丸さんと勝負しました。
少し夢中になってしまって私は何が起こったのかを少し忘れていました。ですが、分かったことはありました。審査員と名乗った亀さんのトータルンさんが対次路丸さん、対黒丸さん、対太路丸さんの結果を出していて、私は負けたことを1対2で負けてしまいました。
「ウカさん、ごめんなさい。負けてしまいました。」
「ミーノ…」
ウカもどんな言葉をかけるべきか悩んでいた。今までは物理的な戦いばかりしてきたが、今回はまた違った勝負であったから、ウカにとっては何がなんだか分からなかったのだ。だから、この結果に文句もつけようがないと思っていた。
ミーノが涙を流しながら、ウカに謝っていた。その時に太路丸さんが手をさしのべた。
「天の頂きに届くミーノ。
泣くのはやめるのミーノ。
俺たちは満足だぜミーノ。
全体的な勝負はお前の勝ちだ。」
少しラップみたいな口調で言ってきた。太路丸曰く、この土地では音楽に乏しい奴らを見下す者がたくさん、いるらしい。だが、イカとタコのことから皆は成長できるという思想にたどり着き、共に共存するようになったらしい。三懺悔はそれを大きな課題としており、困っていた。それを解決したのがミーノであって、自分たちの思想に導いた天才と考えた。ちなみにこの勝負はあくまでも三懺悔の自己満足だったらしいので、ノーカウント判定にしたのだという。
「だから、落ち込むことはない。勝負には負けたが、お前はこの土地に認められる勝者となったのだ。」
それを聞き、安堵するウカとミーノ。特にミーノはウカの思いにまた報いれるようになったことからさらに涙が溢れてしまった。
「だが、その前にお前たちにしなければならないことがある。」
太路丸がそう言うと黒丸が口笛を吹いた。すると他の蟹達が動き、ミーノの服を脱がす。そして、ミーノに元々着ていた服ととある服を着させた。
「あの、これは?」
「ここから先は上にあがる、しかも次は突出して寒い。だから防寒具は着ておくべきだろ?」
その優しさにミーノとウカは改めて三懺悔とその土地の皆に感謝した。そして、新たな道を見つけてそこに向かって進んでいった。
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