第12話 「トロッコ」
モグラ達は今日もひたすら働いていた。自分たちのお陰でこの島は潤い、喜ぶ。その思いがあるとやる気が満ち溢れるのだ。
「今日も働いたな。」
「確かに僕らのこの作業があるからこの島は成り立つと思うとホントにやりがいを感じるよな。」
「それな。」
モグラ達の働く環境はホワイトだ。ちゃんと定時も定まっているし、ちゃんと給料みたいなものもある。だから、こういう環境下でもお互いに会話をすることだってできるし、それぐらいの余裕な時間もある。
「それでさ、うちの嫁がさ!」
「マジですか!」
モグラ達は呑気に喋っていた、今日も普通の働きの中で行われるのだろうと思っていた。
ガシャーンッ!
誰もいないところからどうやら石がたくさん落ちてきたらしい、大半のモグラ達がそこに集まった。
「おそらく勝手に落ちたのだろう、取り敢えず誰もいなくて良かったな。」
モグラ達はともにお互いの幸運を喜んだ。そして、仕事に戻るとトロッコの目の前に石が転がっていた。
「なんだ、これ。」
そこにはこう書いてあった。
「ごめんなさい。」と。
トロッコ担当のモグラはなんのこったいと思い、ポイッと石を捨てトロッコを動かす仕事に戻ったのであった。
その頃、ミーノとウカはトロッコの中にいた。石騒動はミーノとウカの仕業である。誰にも迷惑をかけたくないという思いを持つミーノの意思を尊重するため、ウカが誰にもないところにミーノが持っていた石を起き、そこにウカの根っこを少し使い、自動装置を完成させた。そこから落下したのを見計らい、トロッコの中に乗り込むという作戦であった。それが成功したのである。
「上手くいったな。」
「モグラさん達、大丈夫でしょうか?」
ミーノはモグラ達の心配をしている。ウカはこのままライオンのところに直行できると思っていた。だが、それは甘えだということを認識するのはそれから少しした後だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます