第2話 「生まれてきた生命」

女性とウカは女性が来たところに戻ってきた。

「こんなところに人間が実験を行っているところの入り口があるとはな。」

思わず、感心してしまった。よく迷彩が行われているから、そこにあると認識するのが難しかった。

女性が中に入ると電気がついていたが、点滅していた。今にも壊れそうだ。

「あの、これは何でしょうか?」

女性が指をさすとそこには手紙が置いてあった、ウカは開封して欲しいと頼んだ。

「どうした?」

「開封とは?」

そこからか。とウカはため息をした。説明をして、その女性にやってもらった。そこにはこう書いてあった。


君が覗くかもしれないと思い、ここに記しておく。私は君を作った博士だ。ただこれ以上、命を粗末に扱うのが如く人を産み出すという行為に耐えられそうにない。だから、君を最後に私は消える。服はその机の中に入っている、1個しかないのは許してくれ。最後に君の名前を書いておくよ、さらばだ。フォルト・ミーノ。


ウカは納得した、そうか、この子は人と植物のハーフなのだと。その瞬間、怒りに震えた。実験していることが人を産み出すことだっただなんて誰が思うだろうか?勝手にこの世に作り出されたこの子が可哀想だ。

「人間はどこまで酷いのか。」

思わず、苦言を漏らした。

「あの、私の名前はフォルト・ミーノでいいのですか?」

「おそらくそれが君の名前だろう。」

ウカがイラついているのを横目にミーノは自分に名前があったことに喜んでいた。

「そういえば服があると書いてあったな、この中から取って着てくれ。」

ミーノは机の中から取り出して首を傾げた。

「どうしたんだ?」

「これってどのように使うのですか?」

この女性、本当に人間か?人間が普通と思っていることをできない人がいたなんて思わなかった。

仕方なく、ウカはミーノに服の着方をレクチャーした。だが、ミーノは羞恥心がないのか、木の実をスッと脱いでいた。ウカはおいおいと思いつつもこれが人間の…と思ったのは別のお話。


約10分後、ミーノは着替えることに成功した。靴下はなかったが、ない方がこの森にしっくりきていた。

「フォルト・ミーノ、そなたに質問だ。そなたはこれからどうするつもりだ?」

ミーノは少し悩んで、解答した。

「私を作ってくれた博士?という方を探しに行きます。」

と解答したが

「無理だ。」

と答えた。

「何故ですか?」

「理由はそなたが人間としての容姿を持っているからだ。今、この島では動物達が暴走化している。出たらすぐ殺されるぞ。」

ウカが警告をするとミーノは落ち込んだ。だがそれもそうか。自分を作り出した人間を知りたいという気持ちはよく分かる。

「だから提案をしたい、我々が全面的に協力をしよう。」

ウカがそう言うと草や虫達はコクりと頷いた。

「人間にも恨みは多少なりともあるが、今は動物達をどうにかしたいと思っているのだ。」

その通りだとも言わんばかりに皆、頷いた。ミーノは決心したのかこう言った。

「分かりました。動物の方々を解決させた後、私のことをどうしてもらっても構いません!」

「交渉成立だ。」

今、ここにミーノとウカ率いる植物達の同盟が結成されたのである。





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