第1話 「目覚め」
朝になった、鳥達が朝だと知らせてくれる。だが、この木:ウカは冬眠から目覚めたばかりで少し寝ぼけていた。
「我は何年寝ていた?」
ウカは近くにいた、草に聞く。
「ウカ様は約3年間寝ておりました。」
約3年…現実逃避をしたくて寝たつもりだったが、寝すぎだったか。
ウカは約3年前のことを振り返った、その日は地獄だった。いままで共存共栄してきた動物達が突然、暴走を開始してこの島で実験をしていた人間を殺し尽くした。絶叫、命乞いなどが聞こえてきた。ウカは直ぐ様、これは現実じゃない、夢に違いない。と思い冬眠に入った。
そして、今。目覚めたはいいが、この島で何が起こっているのかがよく分からなかった。
「この島は今、どうなっておるのだ?」
「まだ動物達が暴走しており、我々の仲間も何人かやられました。」
そうか。ウカはここまで絶望を感じたことがなかった。それに加え、仲間達が寝ている中、自分だけは寝ていたことに失望していた。
「すまない。」
「あなた様のせいではございません。」
草がそう言うと周りの虫達も同意していた、いい仲間を持ったな、我は。
ウカが虫達に対して涙を流していると誰かがウカに触れた。
「!?」
ウカは思わず、後ろを振り向いた。虫達は我の目線に全員写っているし、草達は動けない。しかもこの感触は…人間の手の感触だったから。
そこには女性がいた。木の実みたいなものを服としてまとい、どこか不思議な感じを出させる女性が。年齢としては20歳ぐらいだろう。
「泣かないでください。」
泣かないでください。と言われた瞬間、ウカだけじゃなく、周りの草や虫達も驚いた。この人間の女性、ウカが泣いているということを分かったからだ。つまり、顔が見えることからこの女性は植物だということが分かった。
「そなた、名を何と言う?」
「分かりません。」
質疑応答ができるらしい、間違いなくこの女性は植物だ。
「じゃあどこから来た?」
「ついてきてください。」
いやちょっと待て、ちょっと待とう。我、木だから動けないのだが?
ウカが困ったような表情をするとその女性も
どうしましょう?みたいな感じで周りの草や虫達を見た。
「まぁ待て、これを使うから。」
ウカはいつの日か使うかもしれないと思い、とあるものを回収していた。人間が作ったもので自分の目を動物に張り付けることができる。ただこの道具の欠点がある。強制ができなくて、同意が必要だと言うことでもある。さらに一回しか使用できない。
「この道具を使ってそなたの目の片方を我の目になるのだが、良いか?」
「はい。」
女性から承諾をもらい、ウカは自分の目の1つを女性の肩に張り付けた。
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