第3話 初コラボ




【初コラボ!】らんちゃんの弟に色々質問しちゃいます!【朱見あけみさくら・青丹あおにらん(見学)・弟】




「……」

「えー、初めまして、だよね。さくらちゃん、で良いかな? 姉さんから話は聞いてるよ。配信とか全部観れてはないんだけど、歌ってたやつとか聴かせてもらって、歌声素敵だった。低音はかっこ良かったし、高音は綺麗で、思わず聞き入っちゃった。特に『愛○て愛○て愛○て/朱見さくら(Cover)』は感情がこもってて耳に残ったかな」

「アッ。アザマスッ。私も、らんちゃんとのてぇてぇ楽しませてもらってます……」

「えっと……てぇてぇ、って?」

「アッ」

「褒めて貰えてる感じなのかな? ごめんね、あんまり配信の言葉とか詳しくなくて。みんないっぱい知っててすごいよね。俺なんて未だにパソコンのこととかも分かってなくて、姉さんとゲームしたときも設定とかは姉さんに任せっきりだったし、この配信の準備も姉さんに任せっきりだったんだ。さくらちゃんは配信とかするとき、自分で設定とかやってるんでしょ? すごいなぁ」

「ア゜」


コメント:限界オタク出てるぞ

コメント:しっかりしろ

コメント:ちゃんと会話しろ

コメント:もっとオタク隠してもろて

コメント:見た目だけはギャルっぽいのに

コメント:ギャルとオタクは矛盾しないから

コメント:どんだけ緊張してんだ。結婚前の家族挨拶でもしてんのかよ

コメント:さくらん入籍済みだった・・・?

コメント:弟の距離の詰め方にトラウマが・・・

コメント:弟手加減してやれ

コメント:どっから声出してんだそれ

コメント:あっちでお嬢ずっと笑っててかわいいぞ




***



【モニタ○ング】親友と弟の邂逅を見守る枠【青丹らん】




「ど、どんな……どんな声出してるの、さくらちゃん……」


 画面でずっとそわそわ揺れている金髪サイドテールの親友の姿に私は笑いを堪え切れてなかった。

 ヘソというかお腹全体が丸見えな白色のショート丈のトップスに、デニムショートパンツという如何にも遊び慣れているような格好をしている親友が、弟相手に挙動不審に陥っているのである。笑わずにいられようか。


コメント:ずっとぷるぷるしてるお嬢かわいい

コメント:いやでもあれは草生えるのもしゃーない

コメント:今んとこ人間の声じゃない音しか発してない

コメント:何であんなに緊張してんの?

コメント:親友の家族+最推しの家族+推し=弟

コメント:オタクには劇物すぎる

コメント:姉弟てぇてぇを浴び過ぎた

コメント:弟普通に話かけ続けてるの草


 弟は弟でそんなさくらの異常を気にした様子もなく、話しかけ続けている。

 いや、もしかたら弟にとっては近づいてくる女性はみんなこんな感じだったのかもしれない。これが当たり前の反応だと思っているのだろうか。


「笑い過ぎておなかいたい……」


コメント:もう何か弟が企画進行始めてるんだがwww

コメント:おいどっちがVなんだ

コメント:らんらんが使い物にならなさすぎるwww

コメント:司会側が質問受ける企画ってなんだよ

コメント:初配信でももっとちゃんとやってたぞ

コメント:らんらんお前『ほめるた!』の男Vにはもっとぐいぐいいってたろ・・・

コメント:なんだこれ誰だこいつ

コメント:「そうなんですね~(媚び声)」わしはらんらんのこんな声聞きとうなかった

コメント:必死に最推しの弟に媚びようとしてるのまじで草

コメント:姑の機嫌をうかがう嫁かよ

コメント:だいたいあってる

コメント:他の箱とのコラボでももっと緊張してなかった

コメント:「さすがですね!(媚び声)」こいつ誉め言葉のさしすせそ使ってやがる

コメント:草

コメント:草

コメント:弟からの質問返しにお嬢の趣味に合わせた答えしてるwww

コメント:ガチで気に入られようとしててマジでこいつwwwww

コメント:「ちなみに、さくらちゃんの好きなケーキは?」「──チーズケーキです!」「あ、姉さんと一緒なんだ」「ァッ」

コメント:これはお嬢のケーキの好みを把握している弟にてぇてぇを感じてますね

コメント:奇声ソムリエ草


「ひぃ……ひぃ……」


コメント:お嬢の笑いが今まで聞いたことないような本気の笑い声をしている

コメント:そら(身内と親友でこんなこと繰り広げられたら)そう(爆笑)よ

コメント:「姉さんの誕生日かぁ……覚えてないなぁ」「え。お祝いとかしないんですか……?」「うちの場合、姉さんから「弟くん、私、誕生日。弟くん、祝う。OK?」って誘ってくるのが恒例なんだよね」「( ᐛ👐) パァ」

コメント:顔文字wwwww

コメント:顔文字やめろwwwww

コメント:くっそwwwww

コメント:そんな声だったけどwwwww

コメント:これはてぇてぇが許容限界を超えて頭が( ᐛ👐) パァになったときの声ですね

コメント:専用ボイスすぎるだろ草

コメント:「俺の誕生日のときは逆に「今日は姉さんにとって幸せな日です。なぜでしょう? そうです。俺が生まれた日だからです。祝ってください」って言うし」「└( ՞ةڼ◔)」ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwwwwwwwwwwwww」

コメント:やめろwwwwww

コメント:捏造すんなwwwwww

コメント:そこまで言ってねぇよwwwwwww

コメント:くっそwwwwこんなんでwwwwww

コメント:「コポォ」ぐらいだっただろwwwwwww


「コメントで笑わせるのもやめてください……笑い過ぎて涙が出てきたんですけど……」


コメント:おいらんらんぴくりともしなくなったぞ

コメント:気持ちはわかる

コメント:「姉さんの好きなところかぁ」「いっぱいあり過ぎて挙げられない感じですか?(だとしたらてぇてぇ・・・)」「いや、家族って好き嫌いとか考える前の段階に居るからさ。好きだから家族やってるわけでも、嫌いだから家族じゃなくなるわけでもないじゃん。だから、考えたことなかったな」「ヒュッ(断末魔)」

コメント:括弧内だいたい合ってそう

コメント:弟の家族愛が深すぎる

コメント:姉弟てぇてぇ


「弟くん……」


コメント:「あ、嫌いとかではないんだけど、パジャマに丁度いいからって俺のシャツを貰っていくのはやめてほしいかも。高いブランドのやつ持っていかれたことまだ少し恨んでる」「らんちゃんが弟シャツ!?!?!!?!!?!?!?!?」

コメント:お嬢!?

コメント:まじかお嬢

コメント:マジ?

コメント:ブラコンすぎない?


「弟くん!? 違いますよ!? たまたまパジャマが使えなくなっちゃったから一時的に借りたら丁度良かっただけですからね!?」


コメント:ちゃんと返したの?

コメント:借りたら返そう?

コメント:お嬢借りパクとか失望しましたらんらんのファン辞めます

コメント:弟の口ぶりじゃまだ返ってきてなさそうだけど


「……丁度良かったから、わざわざ新しいパジャマ買いに行くの面倒になっちゃって」


コメント:お嬢・・・

コメント:うーん有罪!

コメント:これは言い逃れできない

コメント:弟にちゃんと謝ろうな


「でも! 誕生日に新しいの買って渡しましたから!」


コメント:弁償しても罪は消えんのやで

コメント:失われたものは返ってこないんや

コメント:お嬢への信頼とか確実に減ってるゾ

コメント:素直にごめんなさいするのが吉


「……はい」


コメント:えらい

コメント:弟絡むの幼児退行するのなんなん?あざとすぎか

コメント:弟には甘える姉の鑑

コメント:それ以外はしっかりしてるから(震え声)

コメント:弟の前でくらい許してあげて

コメント:弟・・・

コメント:さすがお嬢

コメント:これ前にお嬢が配信で言ってたやつか

コメント:「昔、女性に強引に迫られまくってた時期があって困ってたんだけど、周りに相談しても、モテて良いな、って全然相手にしてくれなくて。でも、姉さんだけは真剣に相談に乗ってくれて、何なら自分が矢面に立って私の弟に二度と関わるなって助けてくれたんだよね」

コメント:ええ話やでほんま

コメント:ちゃんとお姉ちゃんしてたんだな

コメント:「具体的な被害とかあったんですか……?」「あー……あんまり配信じゃ言えない感じのことは度々。強姦罪が強制性交等罪に改正する前で良かったな、って感じ」「ひぇっ」

コメント:マジやんけ

コメント:こわすぎ

コメント:強姦罪と強制なんちゃらは何が違うん?

コメント:強姦罪→被害者が女性の場合のみ適応。強制性交等罪→性別関係なく適応

コメント:女性恐怖症とかならんかったんかな

コメント:何?ほめるたの面々は闇深くないといけない理由でもあるの?

コメント:彼はほめるた!ではない(無言の腹パン)


「自分の弟が年上の女性に囲まれてどこかへ連れ込まれそうになっている場面見てしまったんですよね……それで思わず間に入って啖呵たんかを切っちゃって」


コメント:さすがにお嬢かっこいい

コメント:家族を守る為なら身を張るお姉ちゃんの鑑

コメント:お嬢がブラコンになるのもなんかわかるわ

コメント:そんなとこ見たら心配でたまらなくなるよな

コメント:てか弟マジでえぐいモテたんやな

コメント:何かもはや呪いみたい




・・・・・

・・・・

・・・

・・




コメント:もはや弟がお嬢のエピソードをバラしてオタクが尊死するだけの配信になってて草

コメント:オタクの奇声コンプしそうな勢いでうける

コメント:オタク死にそうな奇声あげてる割に合間合間の声うっきうきで草

コメント:途中かららんらんのことオタクって呼ぶのが当たり前になってんのも草なんよな

コメント:あんなんオタク以外に表現しようないやろ

コメント:割と素直にキモくて草しか生えない


「もうね……もう……」


コメント:弟がバラすたびにお嬢がダメージ受けてんのも草

コメント:最初はモニタ○ングをにやにや楽しんでたのにな

コメント:気付いたらこっちにブーメラン飛んできてた

コメント:×気付いたら○当然に

コメント:そらあの2人の共通項はお嬢なんやから最後はこうなる

コメント:神回

コメント:切り抜きが捗る

コメント:「弟くん!?」切り抜き集頼んだ

コメント:全国の弟に向けた需要があるな

コメント:お嬢の「弟くん!?」はそのうちガンに効くようになる


「はい! もうこの枠終えてあっちに移動します! 皆さんも概要からあっちに行ってください!」


コメント:草

コメント:お嬢の我儘モードや

コメント:「あっちに行ってください!」

コメント:我儘お嬢たすかる

コメント:限界きたか

コメント:充分楽しんだし3人のてぇてぇ楽しむか




 放送は終了しました。




***




「もうっ! 弟くん、もうっ!」

「あれ、もう姉さんが合流する時間だっけ?」

「らんちゃん! まだ時間あるくない……?」

「時間以前に私の精神がなくなりますっ!」

「私のMPは最大値突破して回復してるが???」

「さくらちゃんも質問全然消化しきれてないじゃないですか!」

「こんなマシュ○ロで募集したどうでも良いあたり障りのない質問よりらんちゃんの話の方が需要あるから! てぇてぇの供給の方が大事だから!」


コメント:お嬢合流

コメント:途中から質問全くしてなくて延々と弟が話してるだけだった

コメント:身内とファンの会話にしかなってなかったんだよなぁ

コメント:進行もゲストに任せた上に質問という最後の役割も放棄したVがいるってマジ?

コメント:その代わりお嬢のてぇてぇ話を大量に聞き出した

コメント:さすがらんらん信じてたわ

コメント:これは有能

コメント:全部許した

コメント:マシュ○ロで質問募集しといてどうでも良いとか言ってんじゃねぇよwww

コメント:ほんまこいつ花弁には何を言っても良いと思ってる

コメント:花弁とアオタンには容赦ない

コメント:これで他のVの配信だと猫被ってるんですよ

コメント:余所行きらんらん

コメント:あれ以来遠慮しなくなったっぽいし、こっちのらんらんのが好きだわ


「ちゃんと進行する方が大事だよ!? 台本全然進めてないですからね!?」

「あ、ちゃんと台本とかあったんだ」

「だって、てぇてぇキャパオーバーだよ!!! というか何で2人きりにしてその様子を見守るとかいう話になったの!? まともに喋れるわけないじゃん!!!」

「それは花弁さんたちが、私が居たら弟くんがする私の話とか遮りそうだからさくらちゃんと2人きりにさせよう、ってさくらん会議で提案したせいです」

「花弁ども!!!!!!」


コメント:なんかこっちに飛び火したぞ

コメント:らんらん乗り気だっただろ

コメント:なすりつけんな

コメント:てぇてぇのためならやるって言ったやろがい!!!

コメント:ぶっちゃけこうなる予想はあった

コメント:てか弟台本の存在すら知らされてないの草


「もうらんちゃん合流したし、うきうき質問タイムはおしまいだ! こっからはみんなで『超○棋』のほめるた!最強決定戦をします」

「もうまともにやってるの私とさくらちゃんだけだけどね……」

「俺、ほめるた!ではないんだけど……」

「うるせぇ!!! やろう!!!!!」


コメント:草

コメント:草

コメント:草

コメント:勢いで押し切ろうとすんな

コメント:これで全部なかったことにするつもりなの草


 台本通り、というべきか、一応予定した通りに一緒に三人でゲームをする流れにはなった。

 ゲーム自体は大いに盛り上がった。最後は弟の強さに私とさくらVS弟という形勢になったが、弟の「姉さんの話、まだいっぱいあるんだ」という一言にさくらが裏切り。私VSさくらと弟になり、私を協力して脱落させた後に弟が「ありがとう、用済みだよ」とさくらを背後から刺して終了、という劇的な展開になった。

 響き渡ったさくらの絶叫はコメント欄を一気に加速させることになった。

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