第580話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その57

 確実に、そしてすぐバレないように少年は必死で計画を練った。そして、この公園の木の上に盗んだラストハッピー賞を隠すことを思いついたのだ。

「まさか木の上に隠すとは…!結さんがいなかったら、見つからなかったよ」

 梅川が、少年の計画に対し半分感心してしまった声を出した。確かに、もし結が少年の目線に気づいていなかったら、絶対に見つからなかったからだ。

「でもどうやってあんな木の上に糸を垂らしたんだ?けっこう高かったぞ」

 実際にラストハッピー賞が吊り下げられていたところを見ていた満が質問した。   

「…高枝切りバサミを使ったんだよ」

 満が責めるように言わなかったのか、少年はあっさり答えてくれた。

「…確かに、高枝切りバサミを使えば、簡単に上へ糸を垂らせますね」

 結が自分のスマホで、検索した画像を出す。それは、長さが自由に変えられる高枝切りバサミの写真だった。

「透明で丈夫な糸を何重にも巻き付けた大き目な石を、高枝切りバサミの鋏の部分で挟み、目標の枝までその石を持ち上げた後、糸が枝に横たわるように向こう側へ落とせば、これでラストハッピー賞を上まで持ち上げられる準備ができます」

 続けて言った結の推理に、少年は「なんで分かったんだ!?」とびっくりした。

「この仕掛けは、もしかしたら前日にしたのではないですか?この高枝切りバサミは柄を短くすることができて、大きいバックなどに入れて持ち運べるとはいえ、レジ袋を盗んだ後に行うのには時間がかかります。そうすると、この公園へやって来た風山さん達に見つかってしまいますから」

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