第577話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その54

「…ええっ!?」

 まさかの結からの頼みに、梅川はスマホの画面の通話ボタンを押す寸前で人差し指を止める。

「なんでだよ!?霧島!?」

 盗まれた物を取り返せたとはいえ、犯人は捕まえた方はいい、と思っていた流は、結へ抗議の声を上げた。

「できれば、私はまず知りたいのです。なぜその人はそこまでしてラストハッピー賞を欲しかったのか」

 まるですぐ近くに犯人がいるような口ぶりで、結は話す。

「そんなの転売するのに決まっているだろう。ラストハッピー賞は高く売れるから」

 梅川が、聞くまでもないと言わんばかりに言う。

「それはお前らの方だろっ!!」

 突然、少年が叫んだ。梅川への怒りがこもった声で。

「どういうことだ?」

 満が、やや驚いた声で聞く。

「こいつらは、ラストハッピー賞を買い占めていたんだ!それを、フリマサイトで売っていたんだよ!」

 梅川を指さしながら、少年はさらに叫ぶ。

「…それ、本当か?」

 流が、戸惑いながら聞いた。梅川からは「代わりにくじを引けない人から頼まれた」と聞いていたからだ。         

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