第576話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その53

「…ええっ!?」

 結からの提案に、流と梅川と少年が同時に大声を出す。

「最近の鑑識の技術では、布の上からでも指紋が分かるんです」

 パーカーに付いている指紋を調べれば、犯人が分かる。それで結はプロに任せる事を提案したのだ。

「ああ、確かじいちゃんもそう言っていたな。犯人の指紋が分かれば、すぐ見つかるだろうし」

 満が、賛成の意思を示した。元警察官である祖父の伝手で、すぐに調べてくれるだろう、と。

「あと、この公園には監視カメラがあるんです。それも調べて貰えば、すぐに分かりますね」

 結がそう言いながら、休憩所の方を向く。確かに、小型の監視カメラがあったのだ。

「うそだろ…!?」

 それを知った瞬間、なぜか少年の顔が真っ青になった。

「ここはイベント会場として使われる事が多いので、犯罪防止として監視カメラが何か所にも設置されているんです」

 結の言う通り、この公園は広いため月に一回は必ず出店が出たりと、イベント会場として使用される。それでトラブル防止として、あちこちに監視カメラが設置されているのだ。

「なるほど!すぐに警察へ通報して、その監視カメラの映像を見れば、犯人の顔が分かる!」

 これで犯人を捕まえられる!と梅川はすぐスマホを取りだす。

「俊彦さん、申し訳ありませんが、警察への通報は少し待っていただけませんか?」

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