第575話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その52

「貴方は、普段はパーカーを羽織っていますよね?」

 疑問だらけとなっていた少年へ、結はこう聞いてきた。

「え…!?」

 その質問に、梅川だけでなく満と流も同時に少年の方を向く。

「…な、なんで?」

 そんな事を聞くんだ?と顔に出ていた少年へ、結は答えを話す。

「貴方の腕に日焼けがあるんです。それはちょうどパーカーの袖の部分と同じなんです」

「―!?」

 よく見てみると、結の言う通り、少年の二の腕にうっすらと日焼けの跡があった。

 確かに、パーカーを羽織った時に日に焼けたらできる跡だ。となると、普段から外に出る時はパーカーを着ている、ということだ。

「…き、今日はたまたま着なかったんだよ!」

 誤魔化すような言い方で、少年は反論する。今日は、白いタンクトップで来た、という感じで。

「このパーカーは君のじゃない、という事か?」

 梅川が、少年へ詰め寄りながら聞く。

「…う、うん!」

 その迫力に押された少年は、汗をだらだら出しながら答えた。

「このパーカーを、警察で調べてもらいましょう」

 満が持っていた、犯人の物と思われる濃い緑色のパーカーを見て、結はそう提案した。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る