第573話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㊿
「となると、計画的な犯行になりますね」
続けて、結はそう推理した。
「あの木の枝に透明な糸を引っかけるなど、すぐにできないはずです。何回もあの木の枝に糸を投げて、初めて成功したかもしれませんし」
確かに、ラストハッピー賞がぶら下がっていた枝は、結構高い。よっぽどの腕前がなければ、とっさにあの木の枝へ透明な糸を引っかけるのは難しいかもしれないのだ。
「わざわざあんな高い所へ隠したのは、完全に諦めさせるためだと思います。まさか木の上に隠してあるなど、思いませんし」
結が気づいたのは、少年がなぜか何度もその木を見ていたからだ。もしかしたら、何か気づいたかもしれない、と。
「犯人はレジ袋を持ったまま逃げていたら、いずれ追いつかれてしまうのと、もし風山さんから逃げ切ったとしても、もし警察が捜査した時に「レジ袋を持っていた」と証言されてしまったら言い逃れはできない、と思ったからレジ袋を休憩場に置いて、ラストハッピー賞だけ隠したのでしょう」
レジ袋をこの公園に置いておけば、それでも少しは足止めになるし、『ラストハッピー賞だけ持ち去られた』と、流達が犯人を捜しに公園を出て行った後に回収する。そのために犯人はこんな方法でラストハッピー賞だけをこの公園に隠したのだ。
だが、結がラストハッピー賞を見つけたため、犯人の目的は果たせなくなった。となると、犯人はここへ戻って来ても、ラストハッピー賞を手に入れられなくなったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます