第570話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㊼

「―!」

 勢いよく落下した濃い緑色の物は、咄嗟に結が受け止めた!

「結さん!」

 梅川が駆け寄るが、結は冷静な顔で「大丈夫です」と答える。   

「霧島!すまない!」

 満も駆け寄るなり謝ってきた。

「君!しっかりしろ!結さんがいなかったら壊れていたかもしれないんだぞ!」

 糸にもっと注意をしなかった事を責めるように、梅川は叱咤する。

「俊彦さん、日野沢さんは慎重に糸をほどいていましたよ。利き手ではなかったのでうまくつかめなかった事で責めないでください」

 満をかばうように、結はそうたしなめた。

「…結さんに感謝するんだな」

 満がかばわれたのが納得いかなかったのか、梅川は深呼吸するとそう言った。

「すみません、日野沢さん」

 小声で結は、満へ謝罪する。

「いや、俺も不注意だった。霧島、手は大丈夫か?」

 もしかしたら、この濃い緑色の物を受け止めた時の衝撃で怪我をしたかもしれない。満は不安な顔になったが、

「ええ、大丈夫です」      

 安心させるように、結は笑顔で返事をした。

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