第568話 流の災難と、内緒のアルバイト その㊺

「霧島、何かあったのか!?」

 駆けつけた満が、結へ聞く。振り向いた結は、自分の頭より一つ分高い木の枝を指さした。

「あの木の枝から、細長い糸が伸びています。多分、釣り糸だと思います」

 満もその枝を見てみると、確かに透明な糸が伸びていた。   

「ああ!」

 満が頷くと、さらに結と同時に枝の方をよく見てみる。すると、その枝にその細長い透明な糸が何重にも巻かれていたのに気づいたのだ。

 その糸の先は、さらに数十センチ高い枝まで伸びていた。だが、結と満の視線はその枝へと向かう途中で止まったのだ。

「あれ…!?」

 何か濃い緑色の物が、その木の枝からぶら下がっていた。糸が透明なので、よーく見て見ないと何か緑色の者が空中に浮いているようにも見える。

「…何があったんだい!?」

 結と満の後ろから、梅川の声がした。走ってきたので、やや息切れしている。

「木の上の方に、何かあるんだ!」

 満が、そう説明しながら指を指した。

「…本当だ!」

 梅川も、緑色の物がぶら下がっていたのに気付いた。    

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