第565話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㊷

「そのタオルはどんなタオルでした?」

 念のためか、結はさらに聞いてくる。

「白くて薄い、普通のタオルだった。何も模様がなかった、と思う」

 流は思い出しながら、そう答えた。

「タオルの出どころが分かれば、犯人を突き止められるかもしれないな」

 もしそのタオルに店の名前などの文字が書かれていたら、それが手掛かりとなる。満はそれも警察に話そう、と考えた。

「………」

 そんな結達のやり取りを、少年は不安と焦りが色濃く出始めた顔で見ていた。流がまだ肩を掴んだままなのか、顔だけでなく、腕や肩にも汗が多く出ている。

「…あの、何か飲み物を買ってきましょうか?」

 それに気づいた結は、先ほどから黙っていた少年へ声をかけた。

「…いや、大丈夫だから」    

 全身に汗をかきながら、少年はやんわりと断る。

「何だと!?君は結さんの親切を断るのか!?」

 それを聞いた梅川が、声を荒げながら少年へ詰め寄った。急な梅川からの抗議に、少年は面食らい、流と満はびっくりした顔になる。

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