第562話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㊴

「い、いや!ちょっと待てよ!」

 『警察へラストハッピー賞を盗まれた事を言う』と提案した満へ、少年はなぜか大慌てとなった。

「そ、その、ちょっと大げさじゃないか!?警察へ通報なんて…!」

 まるで『通報させたくない!』と言わんばかりに、少年は必死で止めてくる。

「大げさじゃないだろ!流が襲われて大事な物が盗まれたんだぞ!これはれっきとした犯罪だ!」

 満は少年へ、そう一喝する。満の迫力に、少年は反論できずそのまま固まった。

「あの…、何かあったのですか?」

 デパート側の公園の出入り口から、突然声がした。若い女性の声に、満達がその方へと顔を向けると、

「霧島!?」

「結さん!?」

 満と流、そして梅川がその声の主の名を呼んだ。

「―え!?」

 そして満と流、梅川は思わずお互いの顔を見合わせたのだった。

      

「…結さんを知ってるのか!?」

 流だけでなく、満までも結の名字を呼んだことから、梅川はびっくりした顔になった。

「日野沢さんと風山さんは、同級生なんです」

 結が、梅川へすぐ説明する。『同級生』という言葉に、梅川はさらに動揺した。

(同級生という事は、毎日学校で会っているのか!?)

 頭の中で、教室で挨拶をしているシーンを思い浮かべた梅川は一瞬『羨ましい』と思ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る