第559話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㊱

「…よかった!」

 盗まれた物が、戻ってきた。梅川も全身の力が抜けたようにへなへなとなる。

「…いや!ない!!」

 だが流は、レジ袋の中身を見るなり悲鳴を上げた。      

「ラストハッピー賞だけ、無くなっている!!」

 クリアファイルと折りたたみ式の小物入れなど、先ほどのくじで手に入った景品は全部あった。だが、最後のくじを引いた者だけが手に入れられるラストハッピー賞だけが見当たらなかったのだ。

「何だって!?」

 それを聞いた梅川が、悲鳴を上げる。ラストハッピー賞は貴重な景品なので、それを盗まれたとなれば大打撃を受けるからだ。

「なあ!本当に見なかったか!?」

 つい、流はなぜかこっそりとその場から離れようとした少年の肩をがっちりと掴んで問い詰めようとした。

「…い、いや!知らないって!?」

 いきなり肩を掴まれ、思わずそこから逃れようと、少年は流の腕を引きはがそうとする。

「おーい!流!どうしたんだ!?」

 流が入ってきた公園の入り口から、別の声がした。流と梅川が同時に振り向くと、そこに一人の少年が駆け寄ってきたのだ。 

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