第557話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㉞

「ああ、すまない!」

 梅川へそう答えながら、流は深く頭を下げる。

「いや、風山君に怪我がなくてよかった!それで、犯人は?」

「濃い緑色の半袖パーカーを着ていた!多分、オレと同い年の男だ!」

 顔を上げながら、流は犯人の特徴を言う。それを聞いた梅川は、急に考え込んだ。

「…もしかしたら、見たかも」

「何だって!?」

 思わぬ証言に、流は大声を出す。

「ここへ来る途中、成宮グループのデパートの近くの公園の方へと走っている人を見たんだ。その人のパーカーが濃い緑色だったから」

「じゃあ、公園へと行ってみようぜ!」

 今のところ、犯人の手掛かりはそれしかない。流は微かな望みをかけて行ってみる事にした。

 

 その公園は、幸澤市の中心部にある大きな公園だ。何本もの大きな樹木が植えられており、夏の日差しを遮っている。

 真ん中が広場になっており、その中には大きな休憩所があった。広場の近くには小さな池があり、噴水から水が噴き出している。

 汗だくになり、息を切らしながら二人が公園へ入ってきた時は、誰もいなかった。   

 一息つく間もなく、二人は公園の中を同時に見渡す。犯人らしき人影は、どこにも見当たらなかった。

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