第556話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㉝

「いたた…、何だ!?」

 何か固くて軽い物が当たった衝撃で、流は思わず立ち止まる。

 怪我はしていなかったが、鼻にその衝撃は残っていた。つい、辺りをきょろきょろしてみると、空のペットボトルが目に入ったのだ。

「これかあ…!」

 数歩先の道路の上に転がっていた、五百mlのペットボトルを見た流は、そのそばまで来ると拾い上げた。

「もしかして…」

 そのペットボトルはラベルがはがされていたが、中身は水だった事は分かる。透明な水滴が、ペットボトルの中にいくつもあったからだ。  

 このペットボトルの中にあった水をぶっかけて、ハッピーくじが入ったレジ袋を盗んだ。となるとこのペットボトルを投げたのは、追いつかれそうになったからだろう。

「見失った…!」

 流がペットボトルで足止めされてしまった結果、レジ袋を盗んだ犯人を見失った。いくつも曲がり角があったため、どこへ行ったのか見当がつかない。

「梅沢に知らせないと…!」

 流は大急ぎで、スマホでラインを送った。

 

「盗まれたって、本当なのかい!?」

 小夜川大橋のそばで待っていた流へと駆け寄った梅川が、息を切らしながら聞いてきた。 

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