第553話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㉚

「いいって」

 短く言い切ると、流はレジで伝票と千円札を出した。

 レジに居た若い女性の店員はそれらを受け取ると、お釣りとして小銭を数枚出す。流はそれを受け取ると自分の財布へ入れた。

「悪いな。すぐに返す」

 満はどこか申し訳なさそうに言ったが、流は「いつでもいいぜ」と明るく言った。

「じゃ、お先に」

 片手を上げると、流はブックカフェのドアを開けて外へと歩き始めた。

 

「よし!ラストハッピー賞をゲットだ!」

 ブックカフェから歩いて約十五分のコンビニから、流は大きなレジ袋を左手で持ちながら出てきた。 そのレジ袋には、ハッピーくじの景品が入っている。今回はクリアファイルと折りたたみ式の小物入れがあったため、それでレジ袋が大きくなってしまったのだ。

「くじを代わりに買うだけで、どんどんお金が手に入る。ホント、助かるよなあ」    

 流は今引いたくじの前に三回分くじの代行をこなし、そのアルバイト代としてさらに一万円分の電子マネーを手に入れた。

 先ほど入ったブックカフェの飲み物代を余裕で支払えるどころか、コンビニでいくらでも好きな物が買える。現金で貰っている自分の小遣いの二か月分ものお金が、この自分のスマホに入っているのだ。

「電子マネーならスマホを見せない限りバレないし、今では電子マネーでも払える店も増えたから、すぐ使えるのがいいよなあ」

 梅川との待ち合わせの公園に着いた流は、東屋の近くの自動販売機にスマホの電子マネーの画面を読み取らせた。すると、自動販売機のボタンに明かりがついたので、冷たい麦茶のボタンを押したのだ。

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