第551話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㉘
「ここが噂のブックカフェかあ」
運ばれてきたアイスコーヒーを一気に三分の一飲んだ満は、店内を見回した。
満と流がいる喫茶店は、七月下旬に開店したばかりだ。八月に入った今でも、店内はほぼ満席になっている。
「何でも隣の本屋さんの店主の伯父夫婦が経営している、って話だ。定年退職をした後、第二の人生として喫茶店をやりたかったんだって」
満と向かい合わせに座っていた流が、自分の分のアイスコーヒーを一口飲んだ後にそう話した。流の近所でも話題になっており、母親が「友達と行ってみたいわ~」とチラシを見ながらそう口にしていたのだ。
店内はそんなに広くなく、二十人座れば満席になってしまうくらいだ。気軽に立ち寄れるよう、椅子とテーブルは茶色系のシンプルなデザインとなっている。
壁側には本棚が置かれており、いろんな種類の本が置かれていた。その隣の観葉植物は丁寧に世話されており、生き生きとした葉っぱを広げている。
ここは本の持ち込みもOKなので、早速隣の本屋で買ってきた本を読み始めた客もいた。学生らしき少年はジュース―を片手に漫画雑誌を読み始め、初老の男性はほうじ茶をお供に文庫本をゆっくり読んでいる。
いろんなお茶や飲み物の微かな匂いが、このブックカフェの雰囲気を心地良くしていた。お菓子や軽食も美味しく、すでに常連となっている客も出始めていたのだ。
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