第550話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㉗
梅川とはラインを交換していたので、すぐ連絡ができた。梅川から次のアルバイトの日を知らされたので、指定された日時である今日の午前中に流は呼び出されたのだ。
「…ん?」
コンビニの近くで、三人の少年が何やら話をしていた。
「助かったよ!これ、どうしても欲しかったんだ!」
「三回引いても当たんなかったし、もう小遣いが足りなくなるから、諦めていたんだ」
二人の少年が、手に持っているキーホルダーを見て大喜びの声を出している。
「こちらこそ、役に立てて良かったよ」
そう話していたのは、梅川だ。梅川の前に居た少年達は、礼を言うとそこから立ち去った。
「今のは?」
ちょうど入れ替わるように、流は梅川へ近づいてきた。
「同級生。ハッピーくじの景品のキーホルダーを欲しがっていたから、今希望していたキャラクターのキーホルダーを売ったところ」
説明する梅川の左手には、エコバックの持ち手が握られている。中身が入っているのか、少し膨らんでいた。
「あいつらが、くじの代行を頼んでいたから?」
最初の説明にあった『忙しくて買いに行けれない人の代わりに、くじを買いに行く』の部分を思い出しながら、流はそう聞いた。
「まあ、そんなとこ」
なぜかやや歯切れが悪い返事をした梅川は、話題を変えるようにズボンのポケットから取り出したスマホを流に差し出す。
「今日はこことは別のコンビニへ行ってくれるかい?もうそろそろラストハッピー賞が手に入るかもしれないんだ」
「分かった」
軍資金とアルバイト料と同時に受け取った流は、二つ返事で了解する。
この時、二人は気づいてなかった。離れた場所から、怒りに満ちた目で睨んでいた者がいた事に。
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