第548話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㉕

「電子マネーでお支払いですか?」

「ああ」

 同級生である流に対し、一人のお客さんとして結は接客した。

 スマホで支払った後、流はすべてのくじを引く。B賞のヒロインのフィギュアを含め、残りのくじをめくり終わった頃、

「こちらがラストハッピー賞の、フィギュアです」

 主人公とヒロインが笑顔で草原の上を座っているフィギュアが入っている箱を、結は慎重にレジの奥から取り出してきた。

「…おお!」

 初めてラストハッピー賞を見た流が感嘆の声を上げる。横と縦が二十㎝、幅が十五㎝の箱に入っていたフィギュアは、箱越しでも分かるくらいに精巧な作りだったのだ。

「おめでとうございます」

 同級生が、ラストハッピー賞を手に入れた事に対し結は祝福の言葉を送った。

「サンキュ、霧島」

 結からの祝福の言葉に、流はやや後ろめたさを感じながらも笑顔で返事したのだった。 

 

 本屋を出た流は、再び梅川が待っている公園へと向かった。

 公園の中へ入ると、梅川が東屋のベンチに座って待っていた。近くの自動販売機で買ったのか、ペットボトルのお茶を飲んでいる。

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