第545話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㉒

 梅川俊彦とはそれっきり、一度も会っていない。だから結は、レジの向こう側にいるイケメンな男子高校生が、あの時会った地味でさえなかった子供と同一人物だと気づかなったのだ。

「…驚きました。とても、かっこよくなられたのですね」

 驚きのあまり、結は素直に今思っている事を口にしてしまった。 

「そう言ってくれると、嬉しいよ」

 結に褒められ、梅川は満面の笑顔になる。

「そうそう、ハッピーくじはあるかな?僕はそれを買いに来たんだ」

 梅川がこの本屋へ来た目的を話すと、結は「は、はい!」とくじが入った小さな箱を差し出す。

「一人十枚までか…」

 そう言いながら梅川は、十枚引く。

「この店は電子マネーでも支払いできるよね?」

 レジの横に立ててある、小さなPOPを見ながら梅川はスマホを出した。

「はい。ではこちらで」

 スマホをレジに置いてある機械で読み取らせた後、結は清算してレシートを渡した。

「…よし!A賞だ!」

 最後のA賞を手に入れたのが嬉しかったのか、梅川は小さく右手を上げた。

「おめでとうございます」

 結が、祝福するように声を出す。その言葉に梅川は「ありがとう!」と幸福感いっぱいの声を出した。

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