第544話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その㉑
俊彦は跡取り息子に相応しく、伝統ある老舗で仕立てた着物を着ていた。だが、ほとんどの梅川家の親戚は、成宮家の跡取りである華の兄ばかりに声をかけていたのだ。
華の兄に比べると、地味でさえない容姿である俊彦はその日のうちに何度も比べられた。それが嫌になって庭へと出てきたのだ。
それを感じ取った結は、天気など何気ない内容で俊彦へ話しかけた。それがきっかけで俊彦は結と話をするようになり、いつしか嫌な気分は消えていったのだ。
結も、俊彦と話していた時は楽しかった。そして『俊彦さんが元気になってよかった』と思ったのだった。
(俊彦さんと話した後、俊彦さんの叔父と叔母が私の事を馬鹿にしていたのを聞いたのが原因で、それ以来親睦の会は開かれなくなってしまいましたが)
俊彦には二人の叔父と、一人の叔母がいるが、上の方の叔父と叔母が結の悪口を言っていたのを華の父親が激怒し「梅川家の会社への支援は今後一切行わない!」と宣言したのだ。
この頃の華の父親はまだ社長ではなかったが、梅川家の会社との取引を担当していた。入社してからどんどん成宮グループの売り上げを伸ばしていった実力を評価され、梅川家との取引を全面的に任されていたのだ。
それを知った俊彦の父親は、必死で土下座をした。もし支援が打ち切られてしまったら、会社が倒産してしまうからだ。
さらに、その叔父と叔母にまで土下座をさせた。二人は納得してなさそうだったが、会社が倒産してしまったら贅沢できない、と思い渋々謝罪したのだった。
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