第540話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その⑰

「だから高校は公立に行ったんだ。と言っても彩礼学園しか行かせてくれなかったけど」

「彩礼学園!?」

 梅川が行った高校は、この県で一番の進学校だ。中学時代のテストの平均点が八十点以上でないと絶対に入学できない!と言われている。

「私立に行かせる余裕はない。けど名家である梅川の子供として恥じないようにそこへ進学してくれ、と言われたからね」

 あの頃は本当に大変だった、と言わんばかりに梅川は疲れた顔になった。

「…そっか」

 想像できないくらいにプレッシャーをかけられていた、と気づき、流は「たいへんだったんだなあ…」と呟いた。

「でも学校は楽しいよ。みんなと一緒に過ごしたりできるから。ただ、付き合いには意外とお金がかかるんだよね」

 彩礼学園は庶民の生徒もいるので、そんなに見栄をはる必要はない。だが、ちりも積もれば山となるようにちょこちょこお金を使えば足りなくなってしまう。

「…どこも同じなんだなあ」

 『進学校』と聞いて四六時中勉強しているイメージがあったが、そうでもなかった、と知った流であった。

「そうしたら、僕の叔父さんが、ちょっとした小遣い稼ぎを提案してくれたんだ」

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