第537話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その⑭
くじは引きたいが、お金がない。親にお小遣いの前借りを頼んだとしても「くじを引きたいから」だと即却下されるだろう。
かと言って姉から借りるわけにはいかない。姉は一生懸命働いたお金で、あれこれ考えてやりくりしているのだ。こっちが本気でくじを引きたい、と言うには正直気が引けた。
「小遣いをもらえるまで、あるかなあ」
あと数日でようやくお小遣いがもらえるが、もしかしたらその頃には売り切れているかもしれない。
再入荷されるとは限らないし、どうしよう…、と流は本気で悩んでいた。
「ねえ、君」
急に、後ろから声をかけられた。
「―!?」
心臓が跳ね上がるほど、流はびっくりする。
「ごめん!驚かせて!」
振り向くと、同じ年の少年が、いつの間にか立っていた。
流より少し背が高い、黒髪の少年だった。短い髪が日本男子らしい凛々しさを引き立てており、なかなかのイケメンだ。
半袖のシャツから出ている腕は引き締まっており、体格も細マッチョという感じだ。身に着けているズボンは質のいい生地を使っており、全体に上品な雰囲気を漂わせている。
「もしかして、ハッピーくじを引きたい?」
突然、予想外な内容の話をされ、流は「えっ!?」と驚いた声を出した。
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