第536話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その⑬

「…オレら高校生には無理だろ?」

「…確かに」

 流が話した厳しい現実に、満は断言した。

「もっとも、買い占めを防ぐために、店によっては枚数制限を設けているからな。でなきゃ、不公平だろ?」

「ああ」

 たくさんお金を持っている人ばかりが、欲しい景品を独り占めできる。それは確かに不公平な話だ。

「それにくじって、運が良ければ一枚だけ引いても欲しい景品が当たるからな。それもハッピーくじの楽しみの一つだし」

「へえ!」

「引いたくじをめくって、どの景品が当たるかドキドキワクワクする。それも、ハッピーくじの楽しみの一つなんだ」

「そうか」

 ハッピーくじの魅力を話す流の輝きが宿る目を見て、なぜハッピーくじが人気あるのか分かった満だった。  

 


 翌日、流は再び結がアルバイトをしている本屋の近くに居た。

 この本屋には、まだ目当てのハッピーくじが残っている。途中で寄ったコンビニは、もうすでに終了していたのだ。

 その時のコンビニの店員が「売り切れてよかったー」と話していたのが耳に入った。店側にしたら、長い間売れ残ってしまったら値段を下げなければならないかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る