第535話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その⑫

「まあな。それでも買い食いしたり、飲み物を買ったりすると、すぐ無くなってしまうんだよなあ」

 親の過剰な節約のあおりを受けて我慢させられていた反動か、ついちょこちょこ使ってしまう。満は自覚はあるものの、なかなかやめられなかったのだ。

「それだけもらっていれば、ハッピーくじが引けるのに…」

 肩を落とした流を見て、満は「ハッピーくじ?」と聞く。

「今話題の映画のくじが、近所のコンビニや本屋でやっているんだ。A賞のフィギュアがすげーカッコいいんだ」

 スマホを操作しながら、流はそれを満へ見せた。

「ああ!カッコいいなあ!」

 その映画にあまり興味がなかった満も、声を出して絶賛する。  

「だろ!でもA賞だから、たくさん引かないと当たらないかも」

 再び肩を落としながら、流は弱音を漏らす。

「そうなのか?」

 満は今までハッピーくじを引いたことがないので、よく分からなかった。 

「ハッピーくじってたしか百枚あるって噂だから、一枚七百円だからラストハッピー賞が確実に欲しければ七万円は必要だ」

「…七万円!?」

 高校生にとって大金とも言える金額に、満は素っ頓狂な声を出した。

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