第533話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その⑩
「飲み会の分も自分で出さなきゃならないから、結局やりくりが大変なのは変わらないのよね」
腕組みをしながら、涼子は難しい顔になる。限られた予算で、友人との付き合いや、欲しい物を手に入れるにはどうすればいいのか考えなければならないからだ。
「…そっか」
アルバイトをすれば、自由にお金を使えるようになる、と思い込んでいた流は、その希望が打ち砕かれた気がした。
「まあ、それでも高校生の時より気は楽だよ。自分で稼いだお金だから、半分とはいえ気兼ねなく使えるから」
自分で働いて手に入れたお金だから、親に何言われようと気にならない。そう思うとアルバイトしてよかった、と思う涼子だった。
「いーなあ、満は」
次の日の午後、満の家へ遊びに来た流は、ふとこう漏らした。
「お爺さんの手伝いをすれば、お小遣いがもらえるんだろ?」
満の部屋で、冷たい麦茶を飲みながら話す流へ、向かい合って座っていた満は「まあな」と答える。
「正直、それで凄い助かったよ。特に親がやたらと節約していた頃はその小遣いが心の支えだったからな」
満の両親はある事情からやたらと節約をするようになり、それで満はお金の事で何度も辛い思いをしてきた。
クリスマスや誕生日にプレゼントがもらえなくなってしまったから、ゲームで遊ぶ、という事ができなくなってしまった。それだけでなくお小遣いも小学生の頃からずうっと同じ額しかもらえなかったので、中学生の時には全然足りなくなってしまう月が多くなってしまった。
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