第525話 流の災難と、内緒のアルバイト!? その②
(華さんは元気のようですね)
夏休みに入ってから、結は華と顔を合わせていない。それぞれ過ごし方が違うからだ。
結は塾へ行き、図書館で読書三昧し、こうしてアルバイトに挑戦する事にした。それに対し華は、同級生達を誘って遊びに行く事が多かったのだ。
ちなみに華が今居るプールは、成宮グループが経営しているホテルの施設だ。友達と遊ぶのなら、と華の父親が特別にタダで使わせてくれたのだ。
華が小学生の頃のようにやたらと結を誘わないのは、おそらく『押してもダメなら引いてみよう』と考えたのだろう。
自分がこうして友達と楽しく遊んでいる様子を見せ続けていれば、そのうち結も一緒に遊びたくなる。
そう考えたのか華は毎日のように、同級生達と一緒に遊んでいる写真をラインで結に送っていたのだ。
『私は今、アルバイト中です。本屋のアルバイトも楽しいですよ』
そう手短にラインで返事をすると、結はスマホをエプロンのポケットへとしまったのだった。
(…?)
ふと店の出入り口へ顔を向けると、いつの間にか人が居た事に気づいた。
本屋の出入り口のドアは透明なガラスだが、宣伝のポスターが貼ってあるので店の中からは外の様子は分からない。
ポスターの下から見えるのは、男物のズボンだ。濃い青色だが、Gパンではなさそうだ。
するとドアが開き、店の中へと入ってきた。じっと見ていた結はすぐ「いらっしゃいませ」と頭を下げながら応対した。
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