第523話 番外編・ナツミと酒井 後編

それである行為をしたのがきっかけで、少女は霧島結と知り合いになったのだ。

「霧島さんは、私の気持ちを理解してくれた。それで、辛かった気持ちが和らいでいったんだ」

 霧島さんのおかげで、心が救われた。そう語る少女の顔は霧島結への感謝の気持ちでいっぱいだった。

「私も、辛い目に遭っていたんだ。だけど、霧島さんが私を助けてくれたんだよ」

 誰にも相談できず、脅されても従うしかなかった。だが、霧島さんは全て知ったうえで受け止め、救いの手を差し伸べてくれたのだ。

「…霧島さんってすごいね。こうやって誰かを助けているから」

 少女からの言葉に、女子生徒は何度も頷く。実際に助けられたからこそ、よく分かるから。

「私は、夏山美奈子。一年二組。部活は、帰宅部かな」

 それで意気投合したのか、少女は自己紹介する。  

「私は酒井舞花。一年三組だよ。アルバイトをしているから、部活に入っていないんだ」

 女子生徒も、自分の名前を言った。

 

 それから二人は、休み時間や昼休みになったら教室の外へ行き、一緒にお昼や話をするようになった。

 アルバイトが休みの日の休日に、一緒に勉強する事が多くなり、さらにもう一人「霧島さんと同じ高校で、よく一緒に勉強してる」友人を紹介され、三人で楽しく勉強する機会が増えた。

 

 なお、陰口を言っていた同級生達は、それからしばらく経ったある日、夏山が噂の美少女ウエイトレスだと知ってすり寄ってきたが、夏山は「私は平気で人をバカにしたり、陰口を言う人とは仲良くする気はないの」と、笑顔でバッサリと拒絶した。               

 その後、同級生達は前から仲良くしていた酒井へ嫌がらせをしようと思わなかったほど、ショックを受けたのだった。

      

終わり

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