第521話 番外編・ナツミと酒井 前編
幸澤市にある、とある公立高校。水色のスカートが可愛い!と評判のセーラー服の制服の少女が玄関へと歩いてきた。
三つ編みに眼鏡をかけた、いかにも『地味』という少女だ。玄関で靴を履き替えると、何も付けていない黒色の学生鞄を持って教室へと歩いて行った。
教室で自席に座った少女は、一人で本を読んでいた。
他にも女子はいるが、皆それぞれグループを作っており、噂話なので盛り上がっている。
「成宮デパートの八階の喫茶店に、すっごい美人のウエイトレスがいるって!」
「モデルみたいにスタイルがいい子らしいよ!」
「その子のおかげで、いつも満席なんだって!」
少女の耳にも、噂話は届く。しかし、特に気にしてない顔で本を読んでいた。
「夏山さんって、今日も地味だよね~」
「友達いないみたいだし、ぼっちなのは仕方ないよね~」
チラ目で少女を見ながら、見下した感じで同級生達は小声で話す。
それも耳に届いたのか、少女は呆れたようにため息をついたのだった。
昼休み、図書室に着いた少女は、借りた本を手に窓の近くの机に向かおうとした。
が、今日は先に一人の同じ年の女子生徒が座っていた。長い前髪をシンプルなヘアピンで止めており、一生懸命な顔で問題集を解いている。
(がんばっているんだなあ)
それを見て、ついそう思った少女は別の机へ向かおうとした。
「…あっ!」
シャープペンシルを持っている右手を動かした瞬間、消しゴムが右手に当たり机から転がり落ちてしまった!
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