第520話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その224

「…あの三人、改心したんだな」

 外側の、下駄箱の陰に隠れながら流が呟いた。

「ああ、じいちゃんからあの三人が犯人だったって聞いた時は『やっぱり…』って思っていたけど」

 流の隣に居た満も、小声で呟く。数か月前、結と三人組が警察へ行った後、満の祖父から連絡が入ったのだ。

 だがそれが満に知らされたのは、結が教室で過去の話をした日からだいぶ後だ。結達が被害届を取り下げたので、それですぐに知らされなかったのだ。

「やっぱ霧島はすげーよな。事件にかかわった人達の心を助けているみたいで」

 流が、思い返しながら話す。犯人へ厳しい罰を与えるのは簡単だが、犯行に関わった人達を改心させるのは難しい、と考えているからだ。     

「霧島は真摯に寄り添って、向き合って、話し合おうとするんだ。それに周りの人達が力を貸してくれるから、霧島はとことん相手に寄り添えるんだな」

 もしそれで傷ついても、相手に傷があるのならそっちの手当てを優先する。霧島は、目の前にいる傷ついている人を見逃さないから。

(…お前は、成宮よりすげーよ)

 こちらに気づかず、教室へ向かった結の後ろ姿を見て、満はそう思ったのだった。

 

 

『謎の美少女と、すぐ痩せるサプリ!?』―完―  

 

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