第517話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その221

 結ちゃんと友人の子が仲直りできれば、結ちゃんは許してくれる。自分のために謝ろうとする華の父親の考えを、会長は一喝した。  

 本当に詫びたいのなら、何もせずにしばらく様子を見る事。会長にそうきっぱり言われ、華の父親は何も言い返せなかった。

「…お中元とお歳暮は食べてくれている、と聞いたから、少しは許してくれたかも、と思ったんだが『食べ物に罪はないですし、残すのはもったいない』から言っていたらしい」

 結の父から聞いた、お中元とお歳暮だけ受け取ってくれる理由に、華は「そうなの?」目が点になった。

「でも、結は『自分の心のケアを優先したい』って言っていたから、前向きになれたんじゃない?」

 いつも自分にトゲのある言葉を言っている根室のおかげで、結が立ち直るきっかけができた。それに対して華は、内心根室に感謝していたのだ。

「…そうだな、兄貴へいいカウンセラーを紹介する、と言ってみるか」

 結が小学生の頃、イジメに遭った結へ有名なカウンセラーに相談させようとしたが、他人を拒絶してしまうほど結の心の傷は深かった。

 だが今の結は困っている人を助けるなど、小学生の頃より他人へ関わろうとしている。今なら、カウンセラーを紹介しても断られないだろう。

「結の心の傷が、早く治るといいね」

 華の口から出た言葉は、心から結を心配する気持ちが込められていた。    

 

 

「霧島!」

 あのサプリ事件から数週間後、結は高校の玄関で呼び止められた。

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